開催報告: 社内人材育成コミュニティ連携イニシアチブ(JACO) 第8回Meet Up(2022/6/28)

こんにちは、G-genの又吉です。

6月よりGoogle Cloudを専業にしているパートナー企業に転職し、Google Cloudにどっぷり触れる日々を過ごしてます。前職では営業サイドでしたが、今後はエンジニアサイドとして技術的なスキルを磨いていけるよう頑張っていきたいと思います!

 

アジェンダ

LT1:運用オペレーターから SRE へのチャレンジ!(京セラコミュニケーションシステム 井筒さん)

LT2:SOMPOのクラウド人材育成と実行の壁(SOMPOホールディングス 靍井さん)

LT3:放送局エンジニアを誰もおいていかないために(毎日放送 倉田さん)

LT4:敷島製パン(Pasco)の人材育成について(敷島製パン 吉安さん)

LT5:QA&ディスカッション会

 

今回はなんと、ブレインパッドの大出さん、アクセンチュアの秋元さんと私の3名で、本ブログを共同執筆いたしました。

当分科会でブログ記事の共同執筆は初めての試みですので、記念すべき初作品となります。

 

ブログ担当

ブレインパッド大出さん        :LT1をご担当

アクセンチュア秋元さん        :LT3,LT4をご担当

G-gen又吉                                  :LT2,LT5を担当

 

今回のMeetupでは、デジタル・クラウド人材育成分科会オーナーでもあるGoogle Cloud Japan のYoshinori Ueda(上田 佳典)さんにファシリテーターをしていただきました。

なんと、JACO第一回Meet Up(2021年4月)でも、上田さんがファシリテーターを努められていたとのこと!!

あれから1年2ヶ月の間、活動をストップすること無く今も毎月Meet Upを続けられているということなので、Jagu’e’rの歴史を感じられますね。

 

また上田さんには、先月5/31に行われた有資格者育成イニシアチブ Meet Up #6において、「某G社内で資格取得を促してみた」という内容でLT登壇もしていただきました。

大好評の内容でしたので、ご興味のある方は以下のブログ記事も是非見てみて下さい!

https://jaguer.jp/digitalcloud20220531/

 

それでは、各LT登壇の内容に入っていきましょう。

LT1 運用オペレーターから SRE へのチャレンジ! 京セラコミュニケーションシステム 井筒さん

 なにやら考え込んでいるカエルに心惹かれる表題。この🐸、ただものではありませんでした。

 (デザインが素敵だったためパワポ多めでお送りします)

 

 井筒さんの所属するサービスマネジメントセンター(SMC)はシステムの運用/監視設計と24時間365日の運用サービスを担う120人の大所帯で、新卒や未経験の方も多く、協力会社の方が過半を占める構成になっています。

 20年以上前にデータセンター運用からはじまり携帯キャリアの課金システムなど高い信頼性・運用品質を求められる環境の中で、「人」での運用体制を磨いてきたそうです。高い品質のために、多重チェックを旨としたいわゆる「ガチガチの運用」、ミスしないことが至上命題 → チャレンジしない風土が育っていったとのこと。

(人のミスを未然に防ぐ仕組み、信頼される高い品質というのは一夕一朝で成し遂げられるものではないです。未経験の方を積極採用し、協力会社さんも多数入られる中でその品質を維持し続けていることは素晴らしいことだと思います)

 井筒さんはこの時代を以下のように表しています。 

 

そんな脈絡で登場するのがこちら!

 井筒さんのいらっしゃるSMC様ではChange=カエルと表すのがブームなんだとか。

(アイコンや愛称は活動に親近感や愛着を持つきっかけになりますよね。このパワポの際、チャットで🐸が飛び交っておりました。)

 

SMC様にChange🐸を迫ったのはSRE(Site Reliability Engineering)に代表される運用自動化の波でした。これまで人で担保してきた「高品質」は、世間ではITを使った自動化によって「当たり前品質」になっており、より魅力的品質を作り出すためには自分たちで成長する運用チームを目指していかなければならない、と井筒さんは語ります。SREを”Service” Reliability Engineering と読み替えて、高品質を担保しながら行動するという活動の指針とされているそうです。

 

 さて、そんなカエル🐸時代の実践施策は、

 モノ(システム)づくりを通して運用業務を自分達の手で効率化・自動化しよりSmartな業務にしよう、というハッカソン的取り組みです。10ヵ月の活動期の中で80人以上の参加と35のアイデアが出たとのこと。

 紹介いただいた成果の1つが「データセンター入館申請ツール」

 元々はメールで受け付けて人力で入館管理システムに入力していた所を、コーディング未経験のオペレーターの方が中心になって自動化。入館申請フォームへ入力したら自動でシステムに登録されるシステムを構築されたとのこと。(現場の方の手でITを使った業務改善が自走できた、素晴らしい事例だと思います。)

 

 こちらのSMC Developers🐸の活動を通して井筒さんが特に気を配ったのが「心理的安全性」だったと言います。

 言うは易く行うは難し。井筒さんはさらっと仰っていましたが、未経験や新卒の方から多くの成果とポジティブなフィードバックが得られたという土台には、非常に丁寧に「心理的安全性」を担保するための配慮があったのではないかと推察します。

 

 現在は「オペ―レーター向けの教育管理システムの開発」や「第二期 SMC Developers」が動いており、挑戦は続いていきますと締めくくられました。

 メンバーの成し遂げた変革🐸の一歩への賞賛と誇りが滲む、穏やかですが非常に熱いLTでした。

(執筆者:株式会社ブレインパッド 大出小夜子)

 

LT2 SOMPOのクラウド人材育成と実行の壁 SOMPOホールディングス 靍井さん

 

靍井さんからは、SOMPOグループ全体のクラウド人材育成における取り組みと課題について登壇いただきました。

SOMPOホールディングスはグループ全体で1万人を超えるそうで、事業内容としては損保事業のみならず、介護事業やデジタル事業まで多岐にわたっており、各社のIT要員においては1名しかいない会社から、2000名を超える会社まで様々な規模の会社が存在しているそうです。

 

靍井さんはその中でも、ホールディングス全体のCCoEメンバーとしてクラウドの活用や人材育成を推進しているそうです。

SOMPOホールディングスのグループ全体的の取り組みとして、「DX人材育成」(上記スライドの左側の部分)の研修をグループ全社行っているそうです。

このDX研修では以下のようなカリキュラムが用意されています。

  • AI系
  • ビックデータ系
  • CXアジャイル系
  • デザイン系
  • クラウドの基礎

 

靍井さんの所属するCCoEでは、上記の研修を終えた社員に対し、さらにクラウドの分野において発展的な内容を学びたいという社員に対し、スライド右側の「クラウド人材育成」の研修を企画・運営しているそうです。

 

本日はこちらの「クラウド人材育成」についてお話していただきます。

 

まずは、SOMPOの考えるクラウド人材育成の目的について共有していただきました。

クラウド人材が増えることで、「新サービスの開発」や「既存サービスの品質向上」、「サービス提供の迅速性・柔軟性」といった企業競争力を向上させることができます!

 

目的から逆算し、クラウド人材の必要なスキルやカリキュラムを考えることができたそうです。

クラウドを最大限活用するには、オンプレミスの考え方より、クラウドネイティブの考え方が重要である。

真のクラウド人材=クラウドネイティブの考え方・スキルの習得が必須。

 

しかし、どのように真のクラウド人材を育成したらいいのか、、、

SOMPOでは、クラウドベンダーの認定資格を基準に、クラウド人材の称号を与えているそうです。

クラウド人材の称号は上から順に、「クラウドスペシャリティ」>「クラウドシニアエンジニア」>「クラウドエンジニア」>「クラウド企画人材」があります。

資格取得が社内でも評価される制度であり、学習のモチベーションアップに繋がる取り組みだなぁと感じました。

 

また、社内のクラウド人材制度を作るだけでなく、クラウド研修などの学びの場も提供するなど、学習の支援体制も整えつつあるということでした。

外部の研修も素晴らしいですが、筆者的には社内の研修は以下のメリットがあるのかなと感じました。

  • 参加しようか迷っている層でもチャレンジしやすい環境づくり
  • 教える側のスキルも向上

実際に、クラウド研修はこれまで過去2回実施し、250名以上の参加者がいたそうです!(凄い参加数ですね)

CCoEの立場として、人材育成の課題についてもご共有いただきました。

 

やはりクラウド人材同士のコミュニケーションって大事なんだなぁと、、、クラウドに限らずですが、勉強って一人では続かないものですよね。

私自身も、Jagu’e’rのおかげで、Google Cloudについて同じ目標も持った仲間とともに学び続けられ、モチベーション維持にも繋がっておりますので、すごく共感しました。

まとめ

 

  • クラウド人材育成は企業競争力向上の過程の1つに過ぎない
  • 人材育成後の課題(活躍の場の提供、コミュニケーション方法)
  • 社内のクラウド人材の知見の蓄え方

 

SOMPOホールディングスという大きな組織において、人材育成の標準化は決して簡単なことではないと思いますが、様々な取り組みにチャレンジされている靍井さんの姿はとてもカッコよく見えました。

引き続きJagu’e’rでCCoEとしての活動についてナレッジを共有していただけますと幸いです。応援しています。

(執筆者:株式会社G-gen 又吉佑樹)

 

LT3 放送局エンジニアを誰もおいていかないために 毎日放送 倉田さん

 

倉田さんの発表は、大変心動かされるものでした。

タイトルから滲みだす、倉田さんの優しさは想像以上でした。

 

Jaguer では IT企業の参加者が多く、日頃の常識を疑う大切さに気づきました。

「皆さんにとってのエンジニアとは?」という問いに対して、倉田さんは「重たいものを持ち、ケーブルを巻くのが得意」なエンジニアでした。

クラウド等に関わることになったのは、直近5年程度なのだそうです。

ITを中心に扱うようになってから、クラウドの資格も取得しました。

 

放送局における情報システムは、技術系として音声や映像も近い領域になるそうです。

質疑応答でもありましたが、音声や映像といった業務とITが密接に関係しています。

情報システムやCGを伸ばす取り組みとしては、コミュニティ作りや合同勉強会を実施しているそうです。

また映像・音声領域のエンジニアのクラウド知識底上げとしては、ハッカソンの開催や社内でハンズオンを運営されているそうです。

LTを通じて数多くの名言が飛び出し、自分たちで改革を進めていくという覚悟が印象的でした。

“気がついた人が動かなければならない” という力強い言葉でチャットは大いに盛り上がりました。

総じて、倉田さんの丁寧な言葉によって紡がれるメッセージのおかげで、テンション爆上がりの10分間でした。

(執筆者:アクセンチュア株式会社 秋元良大)

 

LT4 敷島製パン(Pasco)の人材育成について 敷島製パン 吉安さん

 

倉田さんの発表に続いて、吉安さんからお悩み相談として登壇いただきました。

 

会社紹介が始まった途端、チャットが「お腹減りました」のコメントに溢れました。

いつも美味しいパンをありがとうございます、お世話になっております!

吉安さんは SPS 推進部という部署に所属されているそうなのですが、Smart Pasco System の略なのだそうです。

他企業における情報システム部に近そうですね。

 

基幹システムをアウトソーシングしたことにより IT 戦略と企画に重点を置いた体制にシフトした一方で、様々な課題も発生したそうです。

Pasco さんのお悩みとしては、開発業務がなくなったために、自社の技術力が育たないという課題が発生したそうです。

アウトソーシングした経緯から、内製化に関しては後ろ向きな雰囲気があるそうです。

DXを推進するうえで技術力が必要なことを現場レベルでは分かっていると、なかなかもどかしい状況ですよね。

 

新しい技術を導入するうえで必要となる社内調整の極意など、ビジネス判断のお悩みも歓迎です。

技術は実際に活用されてこそ、価値を持ちます。

孤軍奮闘の吉安さんを、これからも Jagu’e’r  は応援します!

(執筆者:アクセンチュア株式会社 秋元良大)

 

LT5 QA&ディスカッション会

今回のQA&ディスカッションは、事前に8つのの質問を用意し、当日にMeetのアンケート機能を用いて投票の多かった質問を登壇者にお聞きする方式を採用しました。

 

最も投票の多かった最初の質問はこちら!

質問①:クラウドに関連しない業務のメンバーに学ぶメリットをどう伝えるか?

 

  • 井筒さん
    • 「楽しい」と思うこと。仕事でやっているという感覚ではなく、趣味の延長線上のような感覚。
    • そのために、社内勉強会では、ハンズオンなどで実際に触らせ「楽しさ」を伝えることに重きを置いている。
    • 壊しても大丈夫です!と言って心理的ハードルを下げる。

 

仕事を「楽しむ」ことって非常に大事ですよね。クラウドの学習を楽しめるよう最初の導入を工夫していくっては大事ですね!

 

  • 倉田さん
    • 今の業務がすべて「クラウド」に関連していることを伝える(放送×クラウド)
    • もうみんなに「関係ない」ことでは無いことを伝える

 

今後はクラウドを学習しないとやばいよ、という「危機感」を伝えるということですね。

確かに私も「危機感」があると集中力が100倍高まる傾向にあります!w

 

さて、次に投票の多かった質問はこちら!

質問②:経営層から「なぜAWSやAzureではなく、Google Cloudなの?」と聞かれた時にどのように答えますか?

 

  • 靍井さん
    • それぞれの適材適所を使う方がいい
    • Google CloudであればBigQueryなどのデータ分析周り、GKEなどのコンテナ周りが強い
    • Spannerなど、最近の革新的な技術はGoogle Cloudから出ている点も魅力的
  • 吉安さん
    • 偏るのはよくないと思っている。
    • Google Workspaceを社内で利用していたので、社内で浸透しやすかった。
  • 井筒さん
    • 上層部がGoogle Cloudを押している背景があった
  • 倉田さん
    • 放送関連は正直に言うとAWSが強い
    • 社内向けサービスやデータ関連はGoogle Cloud
    • 倉田さん自身はGoogle CloudやGoogle Workspaceの管理者でもあり、社内でGoogle Cloudを推進している

 

共通して、クラウド導入は適材適所で選定していくのが大事とお答えでした。

特に、データ分析やコンテナ周りに強みを持っていたり、最新の技術は割とGoogle Cloudから出ているのもエンジニアとして学習するのか楽しいとのこと。(これには私もとても共感です)

質問③:オンプレ中心の業務フローをクラウド中心に変えるコツは?

 

  • 井筒さん
    • クラウドの方が気軽に使える点を押していく。
  • 靍井さん
    • 設計段階の案件でも検証がやりやすい
    • クラウドジャーニーのようなロードマップを事前に持つことも大事

 

今までオンプレを使われていたからこそ、クラウドのメリットが訴求しやすい傾向にあるみたいですね!

 

 

今後のイベント案内

 

まずは、7月12日に行われる有資格者育成Meet Up #7 のご案内です。

なんと、デジタル・クラウド人材育成分科会初、Google 渋谷オフィスとリモートのハイブリッド開催になるそうです。

次に、Google主催の二刀流イベント#2のご案内です。

こちらのイベントにはなんと、当分科会の運営リードでもある烏山さんもご登壇されますので、是非ご参加宜しくおねがいします!

※7/15にイベントが実施されましたが、当日ご覧になれなかった方へ朗報です!

なんと、二刀流イベント見逃し配信がされてますので、以下のURLからご視聴できます!

https://cloudonair.withgoogle.com/events/jump-start-22 

 

それでは、今回のJACO Meetup #8のブログは以上です。

今回ご執筆いただきました、ブレインパッドの大出さん、アクセンチュアの秋元さん、誠にありがとうございました。

 

今後もブログ共同執筆企画を行っていきたいと思っておりますので、是非皆様のご参加お待ちしてます。

 

合わせて、デジタル・クラウド人材育成分科会では、ご参加者、または運営メンバーも募集しています! 一緒に学び、成長していきましょう!!

 

最後に、おなじみのJagu’e’r ポーズでの記念写真!(ガオーー!)

(執筆者:株式会社G-gen 又吉佑樹)