第15回 小売業界分科会 Meet Up 開催レポート

By 丸尾祐介 & 千田麻理子
2024年7月26日(金曜日)16時より 第15回 小売分科会 Meet Up を開催しました。 

 

はじめに

司会進行は、ベイシアの太田さん!(👏!👏!)

Meet up#15 のお申し込みは、35  名!うち、オンサイト(会場)22名で開催しました!


5/17 オフサイトの振り返り

5月17日に鎌倉で実施したオフサイトでは、今後の小売分科会でどのような活動をしていきたいかを、ロジックツリーに分解し、検討をいたしました。テーマとして大きく3つのカテゴリーで検討をしました。

  1. メンバー広げる系(交流・オフサイト)-> 新規会員追加、店舗・工場視察
  2. 新しいものづくり・ソリューション -> 無人店舗の実現に向けた調査・企画
  3. 仕組み化(人材・ビジネス・教育) -> 人材育成

今後、各グループにて活動を進めてまいります。


LT #1 モバイルオーダー一体型 POS レジで飲食店を支えるダイニーの障害対策のこれまでとこれから
dinii 畑田さん

Google Cloud 製品をつかって開発、整備、メンテをしていらっしゃる畑田さん。以下の内容についてお話いただきました。

1. POS データの重要性
ダイニーが目指す世界は、飲食のあらゆる領域に進出し、領域同士での組み合わせによる新しい価値を生み出して飲食業の売上を伸ばすということ、そのために POS データがその中心にあると考えます。ダイニーでは自社でPOSを開発することで、その世界の実現に必要なデータを集められるようにしています。

2. ダイニーのレジアプリの特徴
従来のPOSレジでも、ハンディやキッチンプリンターとの連携が可能なものがあります。インターネットなしで単体で機能するものですが、オンラインを前提としていないため、外部と連携するような機能の開発は難しい傾向にあります。
一方、オンライン POS レジは、インターネット上にあるので、外部のサービスとの連携がオンラインで行えます。しかし、サーバーなどに障害が起きると本来の機能が使えなくなることも。よって、オフラインで後でデータを送れるようにするという機能が必要になってきます。後ほど詳しくご紹介します。
ダイニーのレジは、「モバイルオーダー一体型オンライン POS レジ」です。基本的にはオンライン POS と同じですが、他の機器やサービスとの連携ではなく一体型になっているのが特徴です。モバイルオーダーでユーザーの識別ができているため、その情報を使って飲食体験の向上に繋がる機能の開発が可能となります。

3. 飲食店における障害の重要さ
飲食店では、来店後の複数の注文を正確に記録し、会計は一番最後にまとめて行います。正確な請求には注文管理が必須で、またキッチンオペレーションにも深くかかわっています。それができないと、オペレーションが崩壊し、来店客に悪い顧客体験をさせ、最悪顧客が帰るということになります。

4. 障害の要因
では、どういった流れで障害が起きるのか。
ダイニーのシステム障害は、頑張れば努力で減らせます。しかし、店舗のネットワーク障害は、店舗数の増加にともなって、やはり発生件数は増えてきます。たとえば、モバイルオーダーとキッチンプリンターまでが動いている(料理が提供できてしまう)が、レジだけが動いていない状況では、請求漏れの問題が生じます。また、データベースとレジ側のデータの不整合が起き、レジ締めができないということも起きます。この問題は、実は、モバイルオーダーとPOSレジが一体型のダイニーならではの問題です。

5. 障害対策のこれまでとこれから
これまでは、ガチャレジ機能(レジ単体で最低限の注文管理と会計機能を実現、後からデータ送信)を2022年12月から対応してきた。そのため、障害が起きてもオペレーションができる状態にあります。

これからは、以下の2つの方向性について
①データ不整合の問題を解決していく
パターンが多く、完全に無くすことは難しいため、発生の抑制、発生時の影響の軽減や、後処理の簡潔化などに取り組んでいきます。
②ローカルネットワークを超えて店内端末を連携させる
中継サーバーを設けたり、P2P通信を使うことで対策をしていきたいと考えています。

質問
お客様がリピートしているかどうかをどうわかるのか?
LINEでモバイルオーダーが立ち上がる。その時にLINE側がIDを受け取れるので、同じIDかどうかがわかる。LINE 版以外は、Web 版で立ち上げて使っていただくことが可能(Web 版についてはセッション情報があれば情報はとれるが、CRM 機能としてメッセージを送る機能は使えない)



LT #2 オンライン x オフラインをシームレスに捉える施策について

unerry 渡邊さん

渡邊さんより、コーナン商事様でのWebサイトの来店効果計測からの拡がりの事例をご紹介いただきました。
まず、コーナン商事様にあった課題感ですが、サイト内でのコンバージョンについては Google Analytics などでわかるものの、結局Webサイトがどれだけ売上に寄与しているか、要はどれだけ購買や来店に繋がっているかかについてはわからない状況でした。

ちなみに、unerry は、人流ビッグデータを持っており、位置情報をメインとしながら、Webサイトのログもかけ合わせることでオンラインxオフラインをまたいで分析するようなサービスを提供しています。なお、位置情報は提携アプリで利用規約に同意されたユーザの人流データのみを取得しており、個人を特定する目的では一切扱わず、位置情報の業界ガイドラインに準拠する形でのみ取り扱っています


さて、コーナン商事様では、店舗受け取りサービスを提供しています。1つ目の取組みは、そういったサービスを考慮しながら来店行動傾向を理解することで、「店舗の特徴を理解する」ということです。店舗ごとの特徴を活かした施策を打てるかもしれない、という仮説があったため、このようなことを行ないました。例えば、店舗受け取りをしている人は、ECで購買した特定の商品だけしか興味がないと考えられますが併売されやすい、またはついで買いしやすい商品をレジ前に置けば、店舗受け取りの際のさらなる購買活動に繋がるかもしれませんそういった施策を打つにあたり、どの店舗で受け取りサービスによる購買比率が高そうか、ということを分析しました。

2つ目の取組みは、「お客様の行動を理解する」ということです。コラム系のWebサイトについて、ページ閲覧後の購買行動や来店行動にどのような傾向があるかを理解し、最適な顧客体験を設計しようと考えました。実際に数値を見てみると、例えば肥料のページを見ている人はECサイトへの遷移が、植木鉢のページを見ている人は実店舗への来店の方が多めになっていました。植木鉢は「思ったより大きくて置いてみると合わなかった」「色が思ったより薄くてイメージと違った」など、実際のものを見ずに購買してしまうと、期待値とのズレがあるかもしれません。そういった商品性の違いを反映した結果が見えたようです。

さらに、コーナン商事様は購買データも取得しているため、いわゆるファネル分析をしたいとのこと。「閲覧」からの「来店」など、行動を1対1の関係だけで捉えるのではなく、いわゆるN1分析的に、とあるユーザーAさんの一連の行動を分析するような取組みも検討中です。例えば、Aさんが、

・7/3(水)朝に家庭菜園のページを閲覧し、夜に再度同じページを閲覧、その日店舗来店はあったものの、購買には至らず

・4(木)には園芸初心者ページを見ただけ

・週末の6(土)に店舗への来店および商品の購買に繋がった

とします。その場合に考えられる仮説として、これから家庭菜園や園芸を始めようとするお客様が、「家庭菜園」ではなく「園芸初心者」のページにたどり着きやすいようにした方が、購買には繋がりやすいかもしれない、ということが考えられます。また、Aさんが購買後に植物の育て方ページを見ていたとすると、追加で買うかもしれない肥料のECサイトへの動線を作っておくことで、さらなる購買行動も見込めるかもしれません。

こういった個別のお取組みの他、中長期の話として幅広に協議していることもあります。例えば、コーナン商事様は、新規だけでなく既存のお客様のCRM活動にもご興味がおありです。ただ、自社でお持ちの購買データだけで、自社に来ているお客様の購買行動はわかりますが、自社店舗以外を含めた来店行動などはわかりません。また、リテールメディアでの事業展開にも興味がおありです。CRM強化とリテールメディア、いずれの領域においてもunerryの人流データに期待を寄せていただいており、顧客体験をもっともっと良くしつつ、さらにさらに事業を発展させるような座組を協議しています。

また、LT終了後の質疑応答の時間も、N1分析のようなことに興味があるがサンプリングが難しく困っているがunerryではどうしているか、そもそもWebサイトのログはどのように取得しているか、など多数の質問が飛び交いました。


グループディスカッション 2023年は生成AIの年、2024年はセキュリティ見直しの年?

イオンリテール/小売分科会事務局 丸尾

セキュリティリスクの増加が叫ばれています。最近の世間を賑わすニュースに、KADOKAWAのランサムウェア被害、クラウドストライクのブルースクリーン問題がありました。

ラインサムウェアとは、身代金のこと。ファイルをロックして身代金を要求するために保持する悪意のあるソフトウェアです。

ランサムウェアの年間金額は年々増えています。実際に大きなリスクになっています。会社の企業規模によっては倒産に至ることもあると思いますし、対応に業務が停止することもあります。ランサムウェアの対策としていくつかの方法も言われています。

次に大きなところが、CEOWDSTRIKEのブルクス問題。ブランデンブルク空港では航空便の運行が停止しました。全世界でも欠航。その被害の規模は数十億ドルといわれていて、被害対象端末は850万端末とのこと。

今回のディスカッションテーマとして、今後追加で考慮をしなければいけないことは?ユーザーはどこまで縛るべきか、各企業の対策はというないようを5グループに分けてディスカッションをしました。

各企業様毎でシステムのオンプレ・クラウドの切り分けの実施や権限申請方法、セキュリティ教育のやり方など、基本的なところは抑えながら、ちょっきんの生成AIに対する情報漏洩の対策についてお話いたしました。また、セキュリティ予算のお話もあがり、ある企業さまでは「記者会見を開きたくなければ、セキュリティ予算を下さい」と社長にお願いするという意外なお話もあがりました。各企業のPMの方は目から鱗の情報もあったのではないでしょうか?


懇親会の様子

Meet Up終了後は懇親会もありました。発表中は聞けなかったプロダクト秘話など盛り上がりました。



また、今回は初めてご参加いただいた方が多く、それぞれ取り組んでいる内容とご興味を持たれている領域についてお話いただきました。それぞれ取り組んでいる内容も違いますが、悩んでいる事は小売りとして同じであったりして、その後のお話もさらに弾みました。

最後は参加可能な方で二次会へ、
dinii様のお取引様のお店を利用させていただき、実際のdiniii様のPOSシステムの利便性を全員で認識。
お仕事だけでなくこの夏で行ったことなどお集まりいただいた方々でざっくばらんにお話しました!!

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