開催報告: Google Cloud有資格者育成イニシアチブ – 第1回Meet Up【GCP資格取得体験談LT大会#1】

デジタル/クラウド人材育成分科会 Google Cloud有資格者育成イニシアチブ運営の秋元です。

Google Cloud有資格者育成イニシアチブでは、先日第1回 Meet Upを開催いたしました。第1回 Meet Upでは「GCP資格取得体験談LT大会」と称して、会員企業の有志からGCP資格を取得するためのイロハについて語っていただきました。本ブログでは、そのイベントの模様を詳しくお伝えてしていきます。

イベントはGoogle Meetsにて開催し、42名もの会員企業社員にご参加いただきました。

1. イベントの概要

当日はGCP有資格者育成イニシアチブの説明に続いて、LT大会とフリーディスカッションを行いました。

イベントは2021年5月12日18時よりGoogle Meetsにて開催し、42名もの会員企業社員にご参加いただきました。

agenda

(出典: 坂井さん講演資料 p.3) 

2. 本イニシアチブのご説明

最初にデジタル/クラウド人材育成分科会の坂井さんより、Jaguerの活動と本イニシアチブの取り組みについてご説明しました。

デジタル/クラウド人材育成分科会には4つのイニシアチブが活動しており(*1)、本イベントはGoogle Cloud 有資格者育成イニシアチブにより運営されています。有資格者育成イニシアチブでは、Google Cloudの資格取得のための情報を交換し、クラウド資格取得を通じたスキルアップを目指しています。

(出典: 坂井さん講演資料 p.9)

*1) 「データ分析人材育成」イニシアチブは「データ利活用分科会」としてデジタル・クラウド人材育成分科会から独立しました。

なお、2021年5月現在、本イニシアチブは有資格者育成に注力する以下4社とGoogle Cloudから、合計13名のメンバーによって運営されています。

デジタル/クラウド人材育成分科会 Google Cloud有資格者育成イニシアチブ 運営メンバー(敬称略)

  • NECソリューションイノベータ
    • 烏山 智史 (運営リード)
  • NTTデータ
    • 的場 聡弘
    • 木下 隆
    • 小泉 鉄之祐 (育児休暇中)
  • Elastic
    • 鈴木 章太郎
  • アクセンチュア
    • 青柳 雅之
    • 横山 祐樹
    • 秋元 良太
    • 吉田 智哉
  • Google Cloud
    • 上田 佳典
    • 大村 芳樹
    • 坂井 俊介

3. LTセッションのご紹介

LTセッションでは5名の方に登壇いただき各10分程度で、多岐に渡るテーマについて語っていただきました。
各発表者のタイトルは以下の通りです。

  1. LT ① Associate Cloud Engineer(ACE)合格体験記 (NTTデータ 打越さん)
  2. LT ② Professional Cloud Architect(PCA)合格体験記 (アクセンチュア 吉田さん)
  3. LT ③ ACEとPCA、どちらを先に受けるべきか問題の考察 (Google Cloud 上田さん)
  4. LT ④ 英語版試験のススメ (NECソリューションイノベータ 烏山さん)
  5. LT ⑤ 初めての分野を学ぶ方法 (アクセンチュア 青柳さん)

LT ① ACE合格体験記

まずNTT Data打越さんより、ACEの合格体験談をお話いただきました。

エンジニアとしてキャリアを歩んできた打越さんがGCPの学習を始められたきっかけは、AWSエンジニアとしての伸び悩みを感じていたそうです。AWS以外のクラウドも使ってみたいと上司と相談していたところ、GCPのプロジェクトへアサインされ、GCP資格(ACE)を取得するに至ったそうです。

(出典: 打越さん講演資料 p.5)

資格を取得するための勉強法についてもご紹介いただきましたが、NTTデータ社内のGCP入門講座とQuickLabsハンズオン、Udemyの問題集を中心に学習したそうです。合計で50時間程度を勉強したが、当日の試験では余裕があったとのことでした。120分の試験時間に対して、30分で解答終了したそうです。ご自身の経験から、他のパブリッククラウドの知識がある方は20時間程度の勉強で合格できるのではないか、とのことでした。

打越さんの発表を聞いて個人的にも、ビジネスの現場でマルチクラウドの価値がますます上がっていることを再確認しました。ご自身のクラウドエンジニアとしての成長を考えて、自らGCPへの学習を始められたことが印象的でした。また資格取得に際しては、試験バウチャーや入門講座など会社からの支援が追い風でしたね。

ちなみに、打越さんは前職に2018年新卒入社とのこと、当日参加者のなかで一番の若手ではないでしょうか。本分科会では、年齢や肩書に関わらずクラウドへの熱意を重視しており、今後も若手の登壇を歓迎していきます。

LT ② PCA合格体験記

続いて、アクセンチュア吉田さんよりPCA取得について語っていただきました。吉田さんがマルチクラウドのなかでも、GCPを比較検討して選んだ理由に触れられており、これまでのキャリアとこれからを見据えた取り組みを具体的にご紹介いただきました。

吉田さんも打越さん同様に、業務でGoogle Cloudを使用していたわけではないが、クラウドアーキテクトとして知見を広げるためにGCPの学習を始められたそうです。AWS以外のパブリッククラウドのなかでもマルチクラウドやマイクロサービスへの理解を深めたいとの観点から、Anthosなどのマルチクラウド対応や、GKEなどのマイクロサービスへの取り組みが活発なGCPに興味をもったそうです。 

日々の学習方法にあたっては、アクセンチュア社内で展開されているカスケード式トレーニングを活用したそうです。受講生が次期講師になる仕組みであり、教える経験を通じて自らの知識が整理され、継続的に社内でのコミュニティが広がります

(出典: 吉田さん講演資料 p.12)

カスケード式トレーニングで基礎知識を習得したのちに、Courseraでハンズオン、GCP公式の模擬試験及びudemyの問題集を活用したそうです。AWS SAAと比較して、PCAではアーキテクトとして顧客の抱える問題をGCPを活用してどのように解決するかが問われる、と感じたそうです。クラウドの基本設計思想を理解しておくことが大切とのことでした。

また試験当日は自宅から受験したそうですが、当日のリモート受験の流れについても説明いただきました。受験環境チェックで、クローゼットのドアを閉めることや、モニターを布で隠すように指示されたそうです。筆者も初めてオンライン受験をするときは部屋の環境を心配しており、こういった具体的な情報はこれからリモート受験をする参加者の役に立ちそうですね。

(出典: 吉田さん講演資料 p.20)

なお、カスケード式トレーニングについてはJagu’e’r社内人材育成イニシアチブ(JACO)第三回MeetUpにてご紹介させていただきます。興味をお持ちの方は、こちらもぜひご参加ください。(2021年7月 実施予定)

LT ③ ACEとPCA、どちらを先に受けるべきか問題の考察

ACEとPCAのLTに続いて、Google Cloud上田さんより「ACEとPCAどちらを先に受けるべきか問題」について発表いただきました。発表を聞いた感想ですが、これはGCP資格初心者には有意義なトピックでした。それというのも「初めてGCPの資格を取るぞ」とACEから勉強を始めると、KubernetesやCLIコマンドなどが多く出題されるため、戸惑ってしてしまう方も少なくないと思われます。この発表を聞いて、気持ちよくPCAを申し込んだ方も多いのではないでしょうか。

上田さんによれば、Professional Cloud Architectという響きからPCAは難しいという印象を持たれがちですが、出題傾向の違いから一概にACEから取得する必要はないそうです。 

まずACEとPCAについて、複数の観点から特徴を比較いただきました。時間、登録料(受験料)、出題範囲、グッズの有無を比較したところ、ACEのほうが登録料は安く、出題範囲の広さも限定的です。一方で、PCAのほうが汎用的な知識で解ける問題も出題され、合格時の特典としてグッズがもらえます。(2021年5月現在)

(出典: 上田さん講演資料 p.7)

複数の相違点のなかでも、出題範囲の深さがポイントのようです。具体的には、ACEではコマンドなどの実務的な知識が深く問われますが、PCAでは汎用的なパブリッククラウドの知識で解答できる問題も出題されます。そのような出題傾向の違いから、オンプレミスや他パブリッククラウドの知識を持っているの方には、PCAの方が取得しやすいのではないか、とのことでした。またPCAと比較して、ACEではよりGCPらしさが学べるのではないかとのことでした。

なお、発表内容は上田さん個人の見解であり、Google Cloudの公式な見解ではない点はご了承ください。

LT ④ 英語版試験のススメ

より広範な資格を目指したい方に向けて、NEC ソリューションイノベータ烏山さんから英語版受験について語っていただきました。GCP資格をほぼコンプリートされているとのこと、GCPにかける熱意が伝わってきます。Google Cloudを使い倒す、という視点からマイナーな資格にも積極的に挑戦されている姿勢に刺激をいただきました。 

烏山さん自身は2020年にリリースされたばかりのMLエンジニア以外の8資格をすでに制覇されているとのこと、社内では黄色のバッチを集めているのでドラゴンボーラーと呼ばれているそうです。

(出典: 烏山さん講演資料 p.4)

烏山さん自身が英語を得意としているわけではないとのことですが、英語版で受験された理由としてはPCNE(ネットワークエンジニア)やPCSE(セキュリティエンジニア)が日本語版でリリースされないのではないかと感じていたそうです。

英語版受験のための学習について、烏山さんは英語版独自の対策をされたそうです。日本語版ドキュメントで知識をインプットしたのちに、英語でドキュメントを読み直すことで英語独特の言い回しに慣れたそうです。日本語版がリリースされていない試験を英語版で受験するメリットは今のところ感じていないとのことですが、日本語版でリリースされていない領域についても専門的な知識を身に着けることができたそうです。

 LT ⑤ 初めての分野を学ぶ方法

最後に、アクセンチュア青柳さんから「初めての分野を学ぶ方法」について語っていただきました。資格勉強に限らず、新しい領域を学ぶスキルを身に着けることは、仕事を効率的に進めるうえで重要ですよね。以前、私も青柳さんと一緒にお仕事をさせていただいたことがありますが、スキルを身に着けて効率的に仕事を終わらせることを身をもって経験させていただきました。

(出典: 青柳さん講演資料 p.4)

当日は青柳さんがGCP資格Professional Data Engineer を受験したときの体験をもとに、効率的に学ぶコツについて語っていただきました。データエンジニアリングの学習を本格的に始めるにあたって、定番とされる専門書を選んでマインドマップを作成されたそうです。400ページある本を丁寧に読むと時間がかかってしまうので、重要そうなところだけを1日30分程度で書き出していきます。限られた時間で体系的に学ぶために、サービスの概要を語れるところを目指したそうです。

時間の使い方として、まとまった時間ではなく細切れ時間を使って勉強しているそうです。学生時代にも、電車やバスの時間で勉強されていたそうですが、やる気の出る時間とやる気の出ない時間帯を把握して、やる気の出る時間帯に集中して作業します。また日々の疑問点を具体的に紙に書き出すことで、理解できていないポイントを明確にすることができます。 

最後に、発表後に多くの反響があった点ですが、原点にあたって深い理解をすることが大事と語られていました。サマリされた情報を読み込むだけだと浅い理解までしか到達できないため、定番と言われている専門書を読んでしっかりと理解することを心掛けているそうです。学ぶことにより試行錯誤の時間を短縮し、業務でのストレスを減らすことを目指しているそうです。

4. 質問&ディスカッションタイム

ディスカッションでは、スタッフの人材育成英語版マイナー資格の勉強方法について質問が出ました。例えば、学習を始めるにあたり始めの一歩を踏み出すハードルが高いようだが、どのような工夫をしているか。管理職の立場から、スタッフの学習モチベーションを上げるためにはどうすればよいか。またリソースが豊富な資格の勉強はイメージがわくが、マイナーな資格の勉強で参照するべきドキュメントは何か、などについて議論が交わされました。用意していたQ&Aの時間では収まらないほどに盛り上がったため、次回はディスカッションタイムをより多く確保できるようにしていきます。

最後に、当日の記念写真を掲載します。第一回ではご都合のつかなかった皆様も、次回はぜひ一緒にJagu’e’rポーズを決めましょう!

本ブログはGoogle Cloud 有資格者育成イニシアチブ運営の秋元良太(アクセンチュア株式会社)が担当いたしました。