CCoE Class Room 【第7回】を開催しました!

エヌデーデーの関口です。

私は中規模の SIer にて社内の研究開発部門に所属しながら、クラウド活用を推進するべくCCoE としても活動しています。
CCoE 研究分科会の参加人数も増えてきて、そうそう自分には当たらないだろうと油断していた Blog 執筆ルーレットが見事にヒットしました。

===(おさらい)「 CCoE Class Room ってなぁに?」

CCoE(Cloud Center of Excellence)の在り方を研究する「 CCoE 研究分科会」では、CCoE に関するベストプラクティスを議論し、情報の発信を行っています。
研究会のコアメンバーと CCoE の在り方を自由に議論することのできるスペースが「 CCoE Class Room 」です。月1度のペースで開催しているのですが、有り難いことに「参加したい」というお話が後を絶ちません。
ということで、ほぼ恒例になりつつあります CCoE 研究分科会に今回新たに参加された企業のご紹介です。ようこそ!

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既に参加されている企業から新たに参加される方も増えており、2022/4/4現在で全36社73名となっております。そして、今回の分科会では大きく次の二つのテーマを扱いました。

  1.  CCoE の実態調査についてディスカッション

  2.  CCoE Class Room

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CCoE の実態調査

CCoE の実態調査は、CCoE として活躍されている Jagu’e’r の参加企業にアンケートを行い、そこから様々な角度での分析を行おうという企画です。
アンケートの集計などはこれからですが、どんな結果がでるのか興味津々ですね。

※もし、この記事をお読みの CCoE な方で「われこそは!」という方、いらっしゃいましたら CCoE 研究分科会までぜひご連絡を!

Class Room

 

もう一つのテーマ「 CCoE Class Room 」は第7回目、今回は「先人/達人に聞く、CCoE  成功の秘訣」というお題で、次の5つのルームに分かれ開催されました。

  1. 大橋先生( KDDI )の部屋

  2. 和田先生( DNP )の部屋

  3. 森谷先生( NTT ドコモ)の部屋

  4. 田中先生(富士フイルム ビジネスイノベーション)の部屋

  5. 饒村(セールスフォース・ジャパン)、遠山先生(野村総合研究所)の部屋


【大橋先生のお部屋】

大橋さん( KDDI ) / 秋葉さん( JAL インフォテック) / 櫻木さん( KCCS ) / 米澤さん(ウルシステムズ) / 渡邊さん(パナソニック株式会社 コネクテッドソリューションズ社)

【質問1】

KDDI の CCoE はバーチャルチームなので関連部門のメンバーを合わせれば人数は多いが、いわゆる運営コアメンバーにあたるメンバーはプロパーだと2名しかいない(パートナー入れても5名)この人数だと社内の多くの案件に対するクラウド面のテクニカルなサポートは非常に厳しい状況。みんなどうしているのか?

実はこの悩みは先生である大橋さんから出されたものでした。 CCoE の先人/達人といえども、悩みはつきないというのが現実みたいですね。

【回答】

  • 部門ごとに自分で解決しなさいというスタンスでやっている
  • それでもシステム側で考えきれないもの、共通基盤要素やNWとかPFとかは見ていて、相談窓口を設けて、来る人の相談にのっている
  • ユーザーのクラウドに対するスキルレベルに応じて、与える権限を分けている
  • 対応仕切れないときにはベンダーにサポートを受けながら実施するということもあった
  • 案件ごとのアーキテクチャは全て出してもらい、レビューは必ず実施する。その際「デファクトな部分は外していないよね?」というレベルのチェックはやる(ただしアーキ更新までは追いかけていない)

【質問2】

既にテナントがたくさんある状態で、新しいガードレールを作ったらどうしている?

【回答】

  • はやめに気づいて、増えるまえに対応した
  • 1のテナントに複数の案件が入っていたりする関係から、自動修復の機能を当てきれないなど、対応はさまざま
  • 既存のリリース済サービスを新バージョンに移行できないので旧バージョンのものは変更しないことにした。旧バージョンには新規のガードレールを適用しない

【和田先生の部屋】

和田さん( DNP ) / 粟田さん( KINTO テクノロジーズ) / 小泉さん( NTT データ) / 柴田さん( KDDI )  関口( NDD ) / 古屋さん( JRI )

【質問1】

社歴が浅く社内のキーマンがわかりにくい状況で立ち上げの時に何を手始めにやる?
背景には粟田さんが移られた会社で DBRE チーム所属となった中で、これから CCoE を立ち上げるということで出た質問です。

【回答】

  • 半年くらいかけて、現状把握をはじめにやる。今のクラウドの利用状況をシステム的に収集する。DBとか仮想マシンの一覧などがすぐに分かるツールを作っている
  • DBREが権限を管理しているのでそれが可能
  • テナントなどはDBREを通じて払い出すので、野良クラウドができず統制が効く

【質問2】

クラウドごとの権限の統制はどうしている?

【回答】

  • ルートは全部特定の部署を通じて作成することになっている。統制が取れるので、野良クラウドができない
  • グループ会社が多いと、何個もドメインがあって全部の情報を把握するのが大変
  • 子会社経由で払い出してもらっているため、一部権限は制限されている
  • ルートを私物化すると、対外的な競争力が失われかねない。そのため、CCoE が管理することを回避して、別の経路でクラウド調達してしまうケースもある
  • IT ベンダーの立場( NTT データ& NDD )でも統制はしているが、ルートが利用できないと、検証できないものが出てきて、本当の意味で顧客に提案できないという声も上がっている
  • セキュリティ面などを考慮してガチガチに厳しくすると、今度は使ってもらえないということになるので、利用してもらうために、セキュリティリスクなどを知ってもらう教育も必要
  • セキュリティが甘くなりすぎるのも問題がある。CCoE の中に、セキュリティの門番みたいな人がいて泥臭いことをやってくれるから、CCoE が成り立っている
  • 利便性と安全性のバランスは永遠の課題

【森谷先生の部屋】

森谷さん ( NTT ドコモ) / 朝枝さん(アイレット) / 柏原さん( JRI ) / 杉村さん( G-gen ) / 田口さん( NTT 東日本) / 時國さん ( NTT 東日本)

森谷さんの NTTドコモでは、2010年からクラウドを利用していて、1000を超えるテナントがあるそうです。最近のトピックとしては、10名くらいでクラウドのコスト管理に着目しているそうです。その他、トレーニングやガイドライン作成、アーキテクチャの最適化、共通基盤の管理なども行われているそうで、CCoE としてのご苦労も多そうですね。

【質問1】

CCoEがバーチャル組織なので、コンサルやコスト最適化のアフターケアまで追いつかないがドコモは専任なのか?

【回答】

  • ゲートキーパーにはならない。依頼があれば設計も作るし、ものも作る
  • コスト最適化については、大きな組織はCCoEから働きかけ、必要に応じてCCoE側も手も動かす
  • できる人は勝手にやってしまう
  • この1年で7つの施策によるコスト最適化を実施して、20%削減した

【質問2】

コスト最適化を検討している。アーキテクチャの最適化はどう切り込むのか?

【回答】

  • 委託費と運用費の最適化を目指し、メンテナンスしやすくする
  • アプリベンダは運用費が下がる分にはあまり言われない(この時アプリレイヤには手を出さない)
  • 最初の成果をどう出すかが課題で、バックアップやログのライフサイクルの期限から着手すると効果が見えるため、施策もやる気が出てくる

【田中先生の部屋】

田中さん(富士フイルム ビジネスイノベーション) / 石崎さん(ウルシステムズ) / 鎌形さん(ウルシステムズ) / 木村さん(富士通) / 曽我さん(スクウェア・エニックス) / 橋本さん(スクウェア・エニックス)

こちらでは、田中さんの会社での取り組みを紹介した後で、質問していくという形式だったようです。

【質問1】

少人数体制でどれくらいのプロジェクトをサポートし、どのくらい深く関わっている?

  • プロジェクト数は、100個以上ある。初めの相談はアーキテクチャの相談をしてくる方がいいと説明しておいて、細かい部分は各パブリッククラウドへ誘導するということをやっている。

【質問2】

ビジネス部門でCCoEをやっているということだったが、複数のビジネス部門ごとにCCoEが存在する?

  • お客様向けのサービス開発組織でCCoEができたという経緯。事業部長の横のつながりで、相談して欲しいという感じでやっている。情シスではないところがやっていると理解して欲しい。饒村さんのWeb記事で、情シスがやっている場合は半分くらいうまくいっていないという話題に対する1つの回答だと思っている。

【質問3】

情シスが管理しているガバナンスはあるのか?

CCoEは最適利用のガバナンスということになるのか?

  • 一番上位にコンプライアンス部門からの規約があるので、それには則っている。
  • それぞれのレベルでセキュリティ規約が決まっており、CCoEではそれに基づいた実装についてのガイドを整備している。

【質問4】

人数が少ないために、パートナーの力を借りているが、CCoEとしてやるべき案件というのは内部から発生させているのか?

「こういうことはやらないとね」という感覚がないと難しいと思うが、もともとやっていたのか?

  • 多少時間は掛かっていると思うが、企画は自分たちでやっている。実際にどうやっていくのかは、パートナーと相談しながらやっている。もともと情シスだったので、全社的にどんなことをやらないといけないかを緻密にやっていたので回せている。

【質問5】

事業部で形にしたCCoEを情シスに欲しいという意見はないのか?

  • ノウハウを教えてほしいという要望はある。社内クラウドは1度つくって4、5年塩漬けているものや、セキュリティがイントラ前提でないといけないものもあり、ターゲットが違うので事業部ほどスピード感がない。

【質問6】

CCoE部門としての方針は、経営層からの意見からか、社内のユーザー会から出てきているものか?

  • いつの間にかクラウド利用が100個を超えていたという背景から、実例が増えていった結果、使ってみたいという話に発展していった。

 

【饒村・遠山先生の部屋】

饒村さん(セールスフォース・ジャパン) / 遠山さん( NRI ) / 秋吉さん( JRI ) / 岩崎さん( KINTO テクノロジーズ) / 廣瀬さん(アルファス) / 森さん( NTT ドコモ) / 矢口さん(カインズ)/ 渥美さん( BTC )

【質問1】

CCoE で何をしているか?

【回答】

  • (廣瀨さん)現状はテナント管理などが主なものになっている
  • (森さん) NTT Docomoとしては公開している通り色々取り組んでいるが、コスト、セキュリティ、人材育成などをCCoEとして取り組んでいる
  • まだ具体的な取組はしておらず、これから検討という状況
    何をやってもいいと言われているので、いろいろと検討して取り組んでいきたい(岩崎さん)
  • (矢口さん)ガイドラインの整備を半年掛けて実施していて、IAMの管理なども行なっている
    デザインパターンの作成にも取り組んでいる
    SaaSも含めたCCoEの取組をしている
  • (秋吉さん)グループ企業のAWS、Google以外のSaaSベンダーも含めたクラウドを幅広く、ガイドラインやコスト管理や、教育など実施している
    8割くらいがSaaS利用をしているため、SaaSのため、SaaSも含めたガバナンスを検討して進めている
  • (遠山さん)最近は脱クラウドやオンプレ回帰というのは出てきているが信憑性がない。
  • (渥美さん)脱クラウドは情報あればかなり深堀していますが、参考となる実体事例はまず見たことがない、というのが率直なところ。

【質問2】

マルチクラウド、SaaS利用、オンプレとクラウドの利活用など、IT戦略や方針を決めて進めているか

【回答】

  • クラウド戦略を立ててやっている
  • クラウドファーストで行っている

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

今回も企業の枠を超えてとても濃い内容でした。それぞれのルームで様々な意見が交わされ、私の CCoE 活動にも役立てていきたいと思っています。4月になり新たなスタートを切った方もいらっしゃると思います。CCoEとして活動を始めた、あるいはこれから始めるという方は、 Jagu’e’r  へ入会していただき、是非ともCoE研究分科会にお申し込みください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。次回の連載もお楽しみに!

 


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