Sustainability分科会第8回(Meetup)開催しました!
Sustainability 分科会 Meetup #8 のイベントレポートをお届けします!
今回は、Accenture から Sophie Lie-Brenny さんをゲストにお招きし、サステナビリティの基礎に関する基調講演と、パネリストを交えたディスカッションの2部構成で開催しました。
そして今回は、Sustainability分科会、いえ、Jagu’e’r の分科会で初の全編英語で通しの Meetup を開催しました! 英語に不安がある方にも配慮し、テクノロジーの力を借りて、Meet での翻訳字幕を付けたほか、このブログ作りに備えて Meet の Transcript(音声からの文字起こし)も試してみました。
当日のアジェンダはこちらです! Sophie さんの Keynote から始まり、Panel Discussion と充実した内容で大変盛り上がりました。それでは当日の模様をダイジェストでどうぞ!
Keynote
Sophie さんは、Accenture のサステナビリティの専門家。オランダ出身で、社内での異動機会に自ら手を挙げて昨年来日されたとのこと。ご両親のお仕事の都合で幼い頃はマダガスカルで過ごし、オランダ語、フランス語、英語に加え、今日本語も学習中と、まさにグローバルを体現されていますね。そして何よりもエネルギッシュに感じられました!
まずサステナビリティとは?
サステナビリティは、環境、社会、ガバナンスの要素を包括する広範な用語です。企業は、環境への影響を減らし、社会的パフォーマンスを向上させ、良いガバナンスを実証することで、サステナビリティに貢献することができます。
人々と地球のためにより良い未来を創造することだけでなく、ビジネスや消費者にとってますます重要になってます。サステナビリティ関連の世界での市場規模は現在、約220億ドル(約3兆円)との推定、2050年までに2.12兆ドル(約296兆円)に達する可能性があります。この成長は、気候変動、政府規制、消費者需要など、いくつかの要因によります。
サステナビリティはビジネスにとってなぜ重要なのか?
サステナビリティに取り組んでいる企業は、財務的にパフォーマンスが向上します。これは、エネルギーやその他の費用を節約できるため、持続可能な製品やサービスに興味を持っている顧客を引き付け、維持できるためです。
サステナビリティは、ビジネスが変化に適応するのに役立ちます。これは、気候変動がもたらす課題、 たとえば、極端な気象イベントや海面上昇などに、より準備出来るためです。
また、ビジネスがリスクを低減するのに役立ちます。これは、環境破壊で訴えられる可能性が少なくなるため、サステナビリティに関心のある従業員を引き付け、維持する可能性が高くなるためです。
ビジネスはどのようにしてサステナブルになることができるか?
ビジネスが持続可能になる方法の例を幾つか挙げました。
- 省エネ家電や機器を使い、再生可能エネルギーシステムを導入することで、エネルギー消費量を削減。
- 節水型の設備を設置し、再利用水を使用することで、水消費量を削減。
- リサイクル、堆肥化、未使用の材料の寄付を行うことで、廃棄物を削減。
- 公正な賃金と労働条件を提供すること、および地域社会を支援することで、社会的なパフォーマンスを向上。
- 環境的および社会的パフォーマンスについて透明性を確保し、悪影響を軽減するための措置を講じることで、良いガバナンスを示すこと。
サステナビリティの将来
サステナビリティの将来は明るいです。世界のサステナビリティ市場は急速に成長しており、持続可能な製品やサービスの需要が高まっています。サステナビリティに取り組んでいるビジネスは、今後数年間で成功する可能性が高くなります。
日本とサステナビリティ
日本は世界で5番目に多くの温室効果ガスを排出しています。日本の温室効果ガス排出量の最大の要因は、電力、産業、石油およびガスの生産です。日本はよりサステナブルなエネルギー源への移行を推進していますが、原子力エネルギーがサステナブルな選択肢であるかどうかについては議論があります。日本は水力発電所の設置スペースが限られています。
これらの課題にもかかわらず、日本はサステナビリティに向けて進歩しています。政府は温室効果ガスの排出量削減の野心的な目標を設定しており、ビジネスはより持続可能な慣行に投資し始めています。日本は、世界的なサステナビリティ運動のリーダーとなる立場にあります。
質疑応答では参加者2名より質問があがりました。
Q1. ESGに取り組むことで、短期的には利益を削るように見えても、長期的には利益を生み出す可能性があることを、経営陣に納得させるにはどうすればよいか?
A1.短期的な成長と長期的なリスクをバランスさせなければならないかもしれません。コロナ禍以降、日本ではグリーンローンやグリーンボンドの急増が見られ、サステナブルなな投資に対する需要が高まっているようです。
Q2.すべての企業がESGと持続可能性に取り組んでいるわけではない。その原因は何か?
A2.特定の原因を指摘することは非常に難しいが、いくつか考えられる要因を挙げます。
1)文化と実際の行動の矛盾:日本は四季折々の変化を大切にする文化があるものの、サステナビリティに関心を持っているのは日本の消費者の39%だけとの調査結果もあります。文化と実際の行動には矛盾があるのかもしれません。
2)コストの問題:サステナブルな製品は、高価なことが多いため、日本の消費者はサステナブルな選択をする可能性が低い傾向にあるようです。
3)利便性の問題:企業が消費者の利便性を重視する傾向にあるため、コンビニエンスストアでは、デザートやヨーグルトを買うときに、プラスチックのスプーンをプラスチックの包装で包んで提供しています。
4)中長期的な視点の欠如:多くの企業が短期的なコストを重視する傾向にあり、長期的なリスクを軽視し、ESGに取り組まないケースが少なくありません。
なかなか中身が充実してまして、時間も押し気味ではありましたが、続いてソフィーさんと分科会メンバー3名によるパネルディスカッションに進みます。
Panel Discussion
パネリストにはソフィーさんに加えて3名が参加。自己紹介から始まり、モデレーターからの質問に対してパネリストがコメントする方式で進められました。
パネリスト(写真右側から):
- Sophie Lie-Brenny (Accenture)
- 米川 賢治 (NRI)
- 岡田 香織 (Google Cloud)
- 堀地 聡太朗 (Google Cloud)
モデレーター(写真左端):
- 秋元 良太 (Accenture)
「サステナビリティが重要だと思う理由を教えてください」という最初の質問に対して、パネリストからは様々な回答が寄せられました。
- 今だけでなく将来世代の生活に直結するインパクトがあるから。
- この地球に生きる全ての生きるものに重要だから。
- 人類は環境のために悪い存在だとかつては思っていたが、我々はもっとサステナブルに生きながら、質の高い生活を送れると思うようになった。
- 将来の環境破壊を避けるように今変えないといけないと思う。
続いて、「短期間でなく、長期間に渡って関心を持ち続けて貰うためにはどうすべきと思うか?」という難しい問いに関しても、ご自身のバックグラウンドや状況を踏まえたコメントが目立ちました。
- 私の場合アフリカとアジアで育ち、貧困と環境劣化を間近で見る機会があったので、長期に渡る思考の重要性を気づかせてくれました。
- 娘や姪がいるので、短期的思考ではなく将来にも渡って考えるインセンティブが出来た。彼らが将来にわたって安心して住める地球環境があることを確かにしたい。
- 我々の選択肢が及ぼす環境へのインパクトについて理解出来ることが重要だと思う。日々利用するモノの由来やどのように作られるかをもっと意識する必要がある。
- 百聞は一見に如かずだと思う。サステナビリティインパクトを与える自分の行動について見える化が出来るならば、より長期にわたりサステナビリティについてのモチベーションを保つのが容易になると思う。
サステナビリティの重要性、それを保つモチベーションについては、各々個人での経験や将来世代への思いやりなど多岐にわたりますね。「どのようにサステナビリティについてのモチベーションを持てるものか」とのモデレーターの質問に対しては次のような意見がパネリスト達より出てきました。
- プロジェクトへの参画。前回第7回のMeetupのLTでお話を頂いたFR様の服のチカラプロジェクトや、その他にもリサイクル、残飯量の削減、環境保全のプロジェクトなど、サステナビリティについての理解が深まるプロジェクトに参加することが例として上がりました。
- 色々な人と話す。様々な文化や背景を持つ人と会話することでサステナビリティ・気候変動に関する新たな観点を見つけることが出来ます。子供の世代からこの経験を積むことが大事です。日々の暮らしの中でも、旅先でもこれは可能です。
- 最新のトレンドについて学ぶ。サステナビリティの知見は日々進化しています。ですので、最新トレンドを理解しておくことが大事です。記事を読んだり、ドキュメンタリを見たり、カンファレンスに参加するなど自分のイニシアチブにより色々な方法で可能です。
- 行動に移すこと。サステナビリティについて理解が深まれば、あとはそれを元に行動に移すこと、これが最も大事なことです。リサイクル、コンポスト、省エネなど身近で少しずつ始められることは色々あります。
「サステナビリティを行動に移すことにあたり、各人に共通して立ちはだかる障壁は何か」についてモデレーターより聞いてみたところ、こんな意見が挙がりました。
- 教育と経験により障壁が低くなるという意見もあれば、サステナビリティに関する話題がネガティブにフレームされていること自体が行動に移す障害になります。
- 時間の観点でいうと、とかく短期間での解決に注目が行きやすいが、持続可能性を考慮しない無責任な行動による長期間に渡るインパクトについて気にする必要があります。
- 自分自身の行動では何も変わらないのではとの思い込みが最大の障壁なのでは。Googleのとある調査によると、自分の日々の生活への関連があればあるほど、サステナビリティそのものに対する興味は長く続くとのこと。自分の持っている服の枚数を数え始めるなど、小さな一歩からの開始が重要です。
最後の質問です。「Jag’u’er サステナビリティ分科会のメンバーそして一個人として、どのようなことを行動にうつしたいと考えてますか?」
- 買い物する前に本当にこれは必要かを自問自答したい。そして不必要なプラスチックの包装は避けたい。
- 消費活動全般においてもっと気をつけることがあると思う。例えば不必要な照明の消灯やその他稼働不要な家電の電源プラグを抜くとか。
- 何をするにおいても、自問自答して、もっとサステナブルな選択肢を選ぶべきだし、その結果として何が起こるかを考えるべき。
- 自問自答に加えて、もっとサステナブルな製品を選ぶべき。例えば買い物に行く際にはマイバック、マイストローの持参など。
想像以上に盛り上がり、時間が足りないと思えるくらいでしたね。参加者に大いに感謝です。懇親会の時間が迫っているなか、急いで記念撮影に臨み、都合がつくオンサイトの皆様で懇親会会場に移り、そこでも大いにサステナビリティネタを中心に盛り上がりました。
次回イベントについて
次回はいよいよデータ利活用グループとのコラボ企画です!!6月27日17時30分開始と決まりました!
皆様、既にお気づきかと思いますが、サステナビリティはデータを活用しないとわからないことだらけ。
あちらこちらに溜まっているデータをかき集めて、さて、うちの会社はどうなってるの??などよく聞きますよね。これまでも色々な活用事例などみんなでちらちらと見てきましたよね。
今回は、ABeam様(データ利活用グループ)、 NRI様および GoogleCloud (サステナビリティ分科会)からのLT、そして パネルディスカッションという構成です。
Hybrid開催、その後は懇親会もあります。
ワクワクしますね。みんなあつまれ〜です。
申込みForm:https://forms.gle/2WnbcZwc4w2b9rRP6
まとめ(結びの言葉)
今回は、初の英語のプレゼンテーション、そして英語でのパネルディスカッションとチャレンジングな会でしたが、活発な議論で盛り上がり、有意義な時間であったと嬉しく思っております。
また次回はコラボイベントと、”初”が続きますが、サステナブルに続けていきますので、皆様どうぞご参加ください。
実はブログ作成の一部に 生成 AI である Bard を初導入! 詳しくは、おまけ編へ! こういう使い方ができると確かに生産性が爆上がりですね!皆様も、”Bard”で試してね。❤
ブログ執筆者一覧
- Bard (Google) operated by 堀地 聡太朗
- 堀地 聡太朗(Google Cloud)
- 塩入 愛(Google Cloud)
- 岡田 香織 (Google Cloud)
- 秋元 良太 (アクセンチュア株式会社)
【おまけ編:生成AIを用いたブログの共同執筆 】
今回のブログの執筆にあたり、話題の生成AIでGoogleから提供されている Bard ( https://bard.google.com ) を活用してみました。
具体的には、①Meetで中継するのに併せて、Meetの機能であるTranscriptsをOnにし、全て音声を文字に起こす仕掛けを作ったこと、②Googleの生成AIツールであるBardにTranscriptを流して、要約してもらったこと、③英語を日本語化するところも同じくBardもしくはGoogleのTranslationツールを活用したこと、です。
①Transcript画面の選択
全編英語なので英語で記録しました。
②Bardでのサマリー作り
整形したTranscriptを更に区切りが良いところで分割し、指示文を添えてBardに投入します。ブログ風にまとめるようにと、指示した結果が一番しっくり来たのでそれを採用してます。多くの場合候補を複数提示してくれるほか、投入指示内容についてGoogle検索をワンクリックで操作も可能です。
たまに気を効かせすぎな記述が加わることもあり(所謂Hallucinationと呼ばれる現象?)、transcriptとの比較などのFactチェックをしたほうが無難です。
日々進化している内容をLLMに反映させるなど技術もまだ発展途上のフェーズにあるのでしょうが、ことブログ公開という用途でも、人間の頭脳による工夫や推敲無しには、そのままリリース出来る品質ではないなというのが、改めての発見でした。
工夫や推敲とは、例えばBardに如何に適切な質問を投げられるかが、後続作業やアウトプットの質/量を大きく左右します。(プロンプトエンジニアリングの重要性とはこのあたりを指すのかも)
またTranscriptの整形と、ブログの文章に起こすところは筆者のマニュアルによる作業が結構入りました。
まだまだツールの組み合わせや、作業段取りにおいて工夫の余地もあるかもしれません。ぜひそのあたりについてもフィードバックを貰いたいところです。
(執筆担当 Google Cloud 堀地聡太朗)