開催報告: Sustainability 分科会 第6回Meet Up(2022/11/)

サステイナビリティ分科会運営リードの秋元です。

サステイナビリティ分科会では、2022年11月10日にGoogle 六本木オフィスとのハイブリッド開催で、豪華LT三本立ての第6回ミートアップを開催しました!

液体の中にサーバーが浮かぶ様子を見たことはありますか? いま目を疑った皆さん、ぜひこの記事を読んでみてください! サステイナビリティの文脈でもホットな先端技術をご紹介いただいています。

そのようなデータセンターに関する激アツ LT に加えて、Googler による Google Cloud Next におけるサステイナビリティセッションの振り返り、さらには Sustainability Summit の振り返りをお届けします。

とても濃厚なコンテンツが3本続きます。当日参加できなかった皆さまにも、ぜひブログを通して、ミートアップの様子を想像いただければと思います! 実際に参加してみると、ブログの100倍濃いですよ! 豪華三本仕立て、お楽しみください!

(秋元 良太 – アクセンチュア株式会社)

 

Sustainability 分科会の概要と New Joiner ご紹介

それでは早速、当日の様子をお伝えしていきましょう!

オープニングはいつもの分科会説明から始まりましたが、最近はたくさんのNew Joinerがいらっしゃって、今回も10名以上の方に新しく参加いただきました。
仲間が増えると本当に嬉しいですね!

新しい方も増えて、2022年最後の開催ということで、簡単にこれまでの分科会の振り返りもしています。
Kickoff となる第1回ではGoogle Cloud における取り組みについて、続く第2回はクラウドを利用する側としての Sustainability について語っていただき、Google Cloud を取り巻くテーマからスタートしていました。
そんな中でキーワードとして出てくるのが SDGs 。第3回と第4回では SDGs について語る回となり、SDGs レポートを読み、概要についての LT もあり、参加者でグループに分かれてのダイアログをしたりと、分科会の活動も次第に盛り上がりを見せてきました。
初のハイブリッド開催となった第5回は、身近な話題のフードロスにフォーカスし、Google の Food Team での取り組みを紹介していただき、懇親会も含めて盛り上がりました!

Sustainability に興味のある方、企業の垣根を超えて一緒に学び、語り合える仲間がここにいます!
是非気軽に遊びに来ていただければと思います。
まだ Jagu’e’r 会員ではない方は、まず Jagu’e’r 会員への登録を済ませていただき、Sustainability 分科会へのご参加をお待ちしています!

それでは、ここからは今回の分科会のメインセッションへ続きます。

(齋藤匡志 野村総合研究所)

 

NextのSustainabilityセッション振り返り

まずはトップバッター、サステイナビリティ分科会オーナーのKao(岡田 香織)さんより、Google Cloud Next におけるサステイナビリティセッションの振り返りLTをいただきました!

Google Cloud Next

今回LTいただいた Kaoさん自身も、Google Cloud Next では「今、日本の企業が取り組むべき SDGs とは|クラウド テクノロジーを活用した SDGs への貢献」セッションにおけるスピーカーとして参加されています! そんなプレミアムな分科会オーナーによる、Next セッション振り返りです。

Speakers | Google Cloud Next

かっちりした写真ですが、実際に分科会でお話すると、物腰柔らかく優しい印象です。週次の運営ミーティングや Slack でのやり取りから、サステイナビリティへの愛を感じます。一方、プライベートではワインが大好きな方です! 懇親会のご参加、お待ちしておりますー。

さて、今回は短時間のLTに合わせて、3つの事例に絞ってご紹介いただきました!


林野庁の取り組みについて
まず一つ目は林野庁の取り組みです!

筆者(秋元)自身、あまり接点のない領域でしたので、大変興味深く感じました。日頃、IT周りのお仕事をしていると、なかなか第一次産業との接点がありません。日本の林業、さらに行政という立場からも踏まえて、どのような取り組みをされているのか、興味がわきますね!

話を聞いてみると、森林における違法伐採が課題になっているとのこと!! 木を切るのは大変ですし、伐採した木を運ぶならばトラックやクレーンも必要になるため、人目に付きそうですよね! しかし、森林では人が住んでいない地域も多いので、違法に伐採されていても気づかれない、、、新しい学びでした!

さて、そんな違法伐採を監視するための取り組みとして、FAMOSTをご紹介いただきました! Google さんお得意の Google Earth Engine × 画像 × 機械学習ですね!

FAMOST: 森林変化抽出
(FAMOST 利用に際しての注意事項等は、日本森林技術協会:無断伐採の把握体制の整備  をご確認ください)

実際に画面を開いてみると、日本地図がどーん!


場所と期間を選択すると、該当地域の画像が表示されます。


詳しい見方は専門家にお任せですが、この画像における色分けによって伐採状況が可視化されているのですね! 今までは山奥まで数時間かけて調査が必要だったことが、衛星画像で可視化されています。これぞ、Google Cloud の強みが活かされていますね!

この事例を聞いて思い出すのは、Global Fishing Watch ですね! こちらは海上における乱獲・違法操業を取り締まる取り組みです! ご興味の方は合わせてご確認ください!

Global Fishing Watch
(サステイナビリティ分科会でも、第四回ミートアップ にて取り上げています)

Recursive社 AIを使ったSustainabilityのソリューション開発
どんどんペースを上げて行きましょう! 次は AI を使ったソリューション開発です!

こちらも、持続可能な森づくりのご紹介です! 住友林業が収集した自然に関するデータと、IHIの衛生技術にAIを組み合わせているそうです。そこに Google Earth Engine (GEE) が加わったら、どのようなソリューションが出来上がるのでしょうか。今後が楽しみですね!

株式会社Recursive

直近では、dataseed という取り組みにも注力されており、ESG関連のデータを統合管理するソリューションに注力されているそうです。


TEPCOの取り組み 太陽光発電Suncle
Kaoさんからご紹介いただく最後の事例はTEPCOグループでの取り組みです!

一度は、太陽光発電を検討されたことがある方も多いと思います。太陽光パネルをつけることによって、実際どのくらいの費用対効果があるのか、気になりますよね! 都道府県によって天候は異なり、近くに山があれば影ができてしまう、、、結局、いくらぐらい節約できるの? という疑問を解決することで、太陽光発電普及を一歩後押しできそうです。

さて、そのような太陽光発電に関する精度の高いシミュレーションを提供することを目指しているのが、TEPCOグループの「サンクル」という取り組みです。

サンクルについて | 東京電力ホールディングスの太陽光パネルお見積り

サンクルは、Google が海外で蓄積したデータ及び機械学習モデルを利用しているようです。強力な機械学習モデルに、東京電力様から日本独自のエッセンスを加えて、ローカライズされた予測を可能にしているようです。

Google Japan Blog: Project Sunroof で自宅の太陽光発電量を見てみましょう

こういった広範な取り組みを知ることができる機会は貴重ですよね! なかなか普段は得られないような情報を学ぶことができました。短時間のLTにエッセンスを凝縮いただいたKaoさん、ありがとうございました!!

(秋元 良太 アクセンチュア株式会社)

 

Sustainability Summit振り返り

続いて、Sotaro (堀地)さんに7月に開催されたSustainability Summit in Japanとして開催されたサミットを紹介いただきました!
2日間のライブ配信で開催された、3つの特別講演と10個のブレイクアウトセッションを紹介いただきました。

特別講演では議員、VC、ESG情報開示研究会理事の方という豪華な方々が講演されていました。
ブレイクアウトセッションでは本分科会メンバである菅野さん、森谷さんも講演されていました!

振り返りでは、普段サステナビリティ分科会で触れている内容が、特別講演で講演されていたため、主にそれを共有いただきました!

特別講演1

まずは特別講演1では、ESG投資の重要性やトレンドを紹介されていました。

投資の話ではGPIFが140兆円程度の投資を190兆円に増やしていたり、日本でも農林中金やゆうちょでも100兆超えの融資になっているというトレンドが見えている、とのことです。
良くも悪くもCOVID19がデジタル化を後押しし、縦割りだったものを少しずつ壊してきている。

近年流行り(?)のデジタルトランスフォーメーションと並行してサステナビリティトランスフォメーション(SX)も最近うたわれはじめ、更にそれが進化してグリーントランスフォメーション(GX)も出てきているとのことです。
そして、これらの転換にはテクノロジが非常に重要な役割を担っている、というお話でした。

投資規模の大きさは目を見張るものがありました!
普段生活していてもなんとなくその流れは感じるものの、数字に落とすとインパクトの大きさが分かりやすくなりますね!!

特別講演2

ベンチャーキャピタリストらしい観点でお話した頂きました。
SDGsはビジネスをつなげていくのことの重要性と、サステナビリティを自分ごとに捉えるという発想の重要性を語っていたとのことです。

自分ごとに捉えることの例として、パンデミック以来部屋のCO2濃度を測るようになったことがあります。
また、テクノロジの進化でリアルタイムで異常気象がモニタリングできるようになったため、金融のリスクの勘案する等のビジネスへの活用を考えることが示唆されていました。
地球規模だと遠く感じるかも知れませんが、身近な話題ではSotaroさんはこの分科会で一度取り上げた、フードロスを可視化できたらその問題を考える人も増え、解決に向かうのでは、と考えたそうです。

また、よく間違えてしまうSDGs/ESG/CSRの違いを分かりやすく説明されていたとのことです。確かにESG投資のサッカーの例えは分かりやすいですね!

SDGs: 具体的な目的。
ESG投資: 実業投資とアクション。サッカーで言うと、自分のポジションを活かしてどう結果を出すかを考えて動くこと。
CSR: チャリティ的な要素で昔からある。

色々話がありますが、きちんと利益を得る、と言うのはビジネスとして避けて通れないので考えましょう、ということをお話されていました。
技術を活かして小さなプレーヤがいきなりメジャープレイヤーになることがあり、例えばモデルナはメッセンジャーRNAという技術で2010年創立にも関わらず時価総額が今は17兆円というのも示唆に富んでいました。

特にサステナビリティを自分ごととして捉える、という話はこの分科会開始当初からのトピックで継続している話題ですね!
モヤッとしている方、周りに話せる方がいる方・いない方もウェルカムなので、色々話したい方はぜひサステナビリティ分科会に来ていただければと思います!

(米川 賢治 野村総合研究所)

 

データセンタにおける脱炭素の取り組み~次世代サーバ冷却技術のご紹介~

データセンタにおける脱炭素の取り組みの一環、次世代のサーバ冷却技術として液浸冷却(えきしん)の実証実験の取り組みについて、NTTデータの関川さんよりシェアいただきました。
データセンターを保有運営するNTTデータグループでも温室効果ガス(GHG)の排出量削減に向けて電力消費の削減に取り組まれていますが、同社においても企業全体に占める電力消費はデータセンターが多くの部分を占めております。今回のトピックはデータセンタの電力消費のうち、IT機器の冷却の部分を削減する取り組みに関するものです。

IT機器の冷やし方には大きく分けて空冷、水冷、液浸の3種類があります。なぜ液浸に注目したのか。液浸は他方式に比べて冷却効率がよいため冷却に必要な電力消費が少なく、空気中の粉塵などに触れないため劣化・損傷がなく、故障率が低いことが挙げられます。

液浸の基本的な仕組みと、今回実証実験で採用した二相式液浸の仕組みについて解説いただきました。

液浸においてはIT機器は絶縁性の冷媒の中に沈められてます。液浸には液体循環による一相式と相変化を利用した二相式がありますが、本実証実験においては二相式を採用してます。二相式とは冷媒が気体と液体の二相を行き来する冷却サイクルを経る方式です。
本検証環境では沸点が50度台のものが採用され、そしてその冷媒は巨大な水槽のような容器に貯められています。

IT機器が稼働し負荷が高まれば、その分発熱します。
その発熱した付近の冷媒に熱が伝わり沸点近くに達すると冷媒が沸騰します。
沸騰による気化熱によりIT機器から熱が奪われることでIT機器が冷却されます。

沸騰した冷媒は気体になり液面から上昇します。
その上昇した気体が水槽の上部に取り付けられた冷却コイルに触れることで温度が下がり、冷媒はまた凝縮し、再び水槽に液体となって下に落ちます。
この循環によりIT機器は冷やされます。

水槽上部に取り付けられた冷却コイルには冷却液が流れているが、この冷却液の温度は冷媒の沸点さえ下回っていればよいため、冷却液の冷却には電気は多く使用されません。

この方式では冷媒が沸騰により自然とかき混ぜられるため、一相式で発生しうる熱溜まり(局所的に温度が高くなる場所)が発生しづらい、また冷媒が沸点付近(50度台)で安定するためにサーバに優しいというメリットがあります。


冷却効率・集約効率が高い二相式液浸の特徴を活用することで、高いIT機器集積が求められるAI学習やハイスペックなDaaS基盤がユースケースとして考えられます。


今回の検証結果ですが、①通年でPUE1.07という高い冷却効率、②DELL社製サーバ・Cisco社製NWスイッチを使った動作確認、③これまでの空冷環境とは異なる運用保守が必要であることの改めての確認が出来たとのことです。
※PUE=IT関連施設のエネルギー効率を表す指標の一つで、施設の全消費電力をIT機器の消費電力で割ったもの。1.0に近づくほど電力消費の効率が良い。


いくつか課題も上がっており、それに対してはいくつかの打ち手を用意してます。
1.地球温暖化対策としてベストな冷媒ではなかったことについては、地球温暖化係数(GWP)が低い液体での検証を今後予定している。
2.液浸で要求されるユニークな保守のメカニズムに対応出来る味方作り、市場作りを今後進めていく。
3.利用者にとってのビジネス上のメリットの分かりにくさに対しては、自社サービスおいて実績を進めて、将来的な顧客提供におけるメリット訴求を目指していく、とのことです。


最後に検証がうまく進んだ理由と工夫についてもシェアいただきました。以上の4点が大きかったようです!
脱炭素に向けての取り組みという全社的な機運の高まりと時流をうまく掴めたこと
複数の部署で明確な役割分担を決められたこと、事業部組織の方向性とマッチしており高い本気度で取り組めたこと
事業部で熱意の担当者を、専任でアサイン出来たこと
初期構想時におけるマネジメントからの肯定的なサポートが得られたこと

液浸冷却という先進的な取り組みの技術的な要素も勿論ですが、全社的な応援も得ながら検証を実施し、次のステップに繋げられたというビジネスケース作りの要素もとても面白く参考になりました!NTTデータの関川さん、大変ありがとうございました!!

(堀地聡太朗 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)

 

集合写真&クロージング

今回も活発で内容の濃い話・議論が多く、時間切れとなりました。
次回のMTG内容の意見交換、アイデア出しを行い、カクテルパティーに向けて、身体を切り替え(整え)、クロージングとなりました。
多様なメンバーの想いが詰まリ、新しい発見・知識も身についたMeetupになったのではないか、といつもながら思い知らされてます。
そんなメンバーたちと、当日のワークショップ終了後に、記念撮影をしました!


(泉 孝幸 シンプレクス株式会社)

 

カクテルパーティー

お楽しみのカクテルパーティ、またの名を”ネットワーキング”のお時間です。
今回は六本木でした。いつもの、、というラインナップでしたが、さすが、サステナ分科会はもちろん完食でございます。
またやりましょう。


(岡田香織 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)

 

まとめ(結びの言葉)

以上、当日の模様をお伝えしました! 楽しんでいただけましたか?

これからもサステイナビリティ分科会では、持続可能性やSDGs をキーとして様々な話題を扱ってまいります。ご興味をお持ちいただいた方は Jagu’e’r へ会員登録のうえ、サステイナビリティ分科会へ奮ってご参加ください!

Japan Google Cloud Usergroup for Enterprise

今回のブログはサステイナビリティ分科会運営メンバー有志で分担執筆してみました! 一人当たり1時間程度から無理なくご参加いただけますので、ブログ執筆のご興味をお持ちいただいた方は、ミートアップ参加後のアンケートにてその旨ご回答ください!

ブログ執筆者一覧(上から担当パート順)
秋元 良太 (アクセンチュア株式会社)
齋藤 匡志 (野村総合研究所)
米川 賢治 (野村総合研究所)
堀地 聡太朗 (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)
泉 孝幸 (シンプレクス株式会社)
岡田 香織 (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)

次回イベントは2023年2月14日に、新春LT祭りを企画しています!
乞うご期待!!

2023年も、引き続きよろしくお願いいたします!!🎍

(秋元 良太 アクセンチュア株式会社)

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