開催報告: 社内人材育成コミュニティ連携イニシアチブ(JACO) – 第6回Meetup

こんにちは。アクセンチュア株式会社の吉田智哉です。

 

2022年2月22日に開催されました、社内人材育成コミュニティ連携イニシアチブ(JACO)の第6回MeetUpの開催レポートをお届けいたします!

今回のMeetUpでは、KDDI株式会社 大橋さんがメインスピーカーとなり「エンタープライズコミュニティジャーニー」と題しまして、

KDDI社内でいかにコミュニティ文化を形成していったか、またコミュニティ文化により人材育成はどのように変わったかといった内容をお話しいただきました!

登壇資料はこちらにて公開されています!

社内でGoogle Cloudの人材育成にかかわる私自身のとっても、興味深い内容ばかりでしたのでダイジェストにてお伝えします!

 

■コミュニティと人材教育の関係

そもそも人材教育の目的は何でしょうか?スキルアップ?資格取得?企業によって目的は様々ですが、その一つに「学びへのモチベーション向上」があります。

通常、企業では社員一人一人の学びのモチベーションを向上させるために資格合格者への報奨金や昇格・昇給といった一時的な褒賞を設定しがちですが、学びのモチベーション維持に最も重要なのは「同じ関心軸を持つ仲間と共通のコトバで会話できる最新情報と課題を相互交換できる場」(=コミュニティ)を提供することだと大橋さんは語ります。

ナレッジの共有・相互交換というと、標準化・文書化に目がいきがちです。IT、特にクラウド領域は進化も速く文書を常に最新化するだけでもかなりの労力がかかってしまいます。ウェブ上の情報もある一時点のスナップショットにおける情報に過ぎません。最新の生きた情報は人と人との緩い繋がりの中にこそあると考え、技術者同士をつなぎその中で知識共有することが一人一人の知的好奇心を刺激し学びのモチベーション向上につながると考えます。

 

■KDDIにおけるコミュニティ文化の歩み

では、KDDIではどのようにコミュニティ文化を形成していったのでしょうか。

2018年以前、コミュニティ文化がまだ形成されていなかったKDDIでは「KDDIへのコミュニティ文化の注入」を目的とし社外向けコミュニティTech-on/社内向けコミュニティTech-inが立ち上がります。

キックオフ当時は27人から始まったTech-onは、活動を経てさまざまな分科会が立ち上がり現在では大橋さん自身が仕掛けなくても自ずとコミュニティが乱立する状態にまで達したそうです。

 

■コミュニティ文化によってKDDIは何を得たか

コミュニティ文化が醸造されたことによって下記三点が得られたと大橋さんは語ります。

・組織内での【群衆の叡智】の実現

エンタープライズような巨大な組織では、部署横断的に知識を共有・醸造していくことは難しく、知識は組織内にとじられ属人化しがちです。一方でコミュニティを形成することで知識の属人化を防ぎ、知識そのものを部署横断の財産として共有することができました。(「誰が知っているか」→「どのコミュニティなら知っているか」への変遷)。

またコミュニティは、興味軸で作られる仮想組織です。その分野において強い興味とモチベーションを持つ人が集まり、学びあうことで絶大な学習効果をもたらします。結果として、コミュニティの形成は、知識の属人化を防ぎながらも組織全体として高いレベルの知識を共有できる仕組み(群衆の叡智)を実現したそうです!

・勉強会が生む「本当の価値」

コミュニティ内で行われる勉強会は、自己学習やセミナーで得られるような教科書的な情報だけでなく、社内ならでは失敗談や秘匿情報を交えた経験に基づく知見を、同じ目線で教え、質問しあうことで相互共有することができます。

またコミュニティ運営に携わることで、コミュニティの題材をより俯瞰的にみることができたり、勉強会やLTに登壇したりすることで社内・社外に濃い人脈を形成することができます。コミュニティ活動による勉強会は、座学のような受動的な学習に比べ参加者がプロアクティブに学びに参加できる仕組みになっており、最も学習効果の高いといわれるアクティブラーニングを実現することができたそうです。

 

・知れる場/聞ける場/褒められる場

KDDIではコミュニティの形成によって醸造された集合知を気軽に聞ける場・知れる場を提供しています。チャットツール上に社内向けオープンコミュニティを作成し、ユーザ同士が情報交換・ヒアリングがいつでも可能な状態となっているそうです。アクティブユーザ数は960人以上、参加部門数は95部門以上とまさに全社横断的な知識の共有場(「知れる場/聞ける場」)として、学び続けることの意欲、また組織へのエンゲージメント向上に寄与しています。

また、KDDIでは「クラウドチャンピオンプログラム」として、優れたクラウド技術者を表彰する制度(=褒められる場)があります。この制度の特徴的な点として受賞者を決めるのはコミュニティメンバーとなっています。日頃ともに知識を磨きあっている仲間に認めてもらうことこそが、本当のモチベーション向上につながります。

 

■まとめ

学ぶことにおいて一番の障壁は、モチベーションの維持です。金銭や名声は一時的には効果的ですが、本当の意味でのモチベーション向上にはつながりません。一番のモチベーション向上は「同じ興味を持つ仲間と繋がり」です。同じ興味軸で集うコミュニティは学びにおけるモチベーション寄与に絶大な効果があります。

当時コミュニティ文化が存在しなかったKDDIはほぼ0から始めて、今ではコミュニティが自発的にできるまで成長しました。どのような企業でもコミュニティ文化は作り上げることが出来る、まずは仲間を探して小さなことから始めることが大切」だと大橋さんは強く語ってくれました。「コミュニティなしになにかを学ぶことは難しい」この考え方を常識にしていきたいとのことです。

 

■質疑応答

大橋さんの熱のこもった講演をうけて、質疑応答も活発に行われました!

コミュニティの力に対して絶対な自信があったとのことだが、周りがついてきてくれるか不安はなかったか?」という質問に対して、「最初募集するときはどのようなイベントの登壇よりも緊張したが、募集の範囲を広げると必ずどこかに同じ志を持つ仲間がいるということがわかったので、安心して進められた。まずは大きく募集をしてみるといいと思う。まずはなによりも始めることが大事だ」とのことでした。

興味軸で集まることができるからこそ、まずは大きく範囲を広げて同じ志を持つ人を集めるということが、コミュニティのうまみも生かしながら安定して運営していく秘訣なのかもしれないですね。

 

■ブレークアウトセッションによる交流会

今回のMeetupでは、ブレークアウトセッションを利用した交流会が行われました。

下記3つから興味のあるテーマを選んで頂き個別のMeet会議にてディスカッション後、全体で発表するというものです。

 

・Room A:組織をまたいだコミュニティを作ろうよ、この指とまれ

・Room B:あなたの組織での人材育成のモヤモヤを共有しよう

・Room C:あなたの組織にはどんなコミュニティがありますか?できたきっかけを教えてください

 

私は、RoomB 「あなたの組織での人材育成のモヤモヤを共有しよう」に参加しました!

↓のような形で皆さんでDocを共有しながらディスカッションしました

RoomBでは下記のような議論がされました!

  • 部下が主業務をそっちのけで勉強に行ってしまう、、、業務とのバランスをどうとってもらうべきか管理職としてモヤモヤしている
    • コミュニティ活動・勉強会も業務として認める(2:8など割合を決めて)
    • 上司も含めて勉強会にいく(×勉強会にいってこい! 〇一緒に勉強会に行こう!)
  • 上記とは逆に、社員が業務に関係のない勉強会には出席してくれない(オンプレミスの業務を行っているエンジニアは、クラウドの勉強会に行かない)
    • クラウドを学ぼうと思ったきっかけは、クラウド技術の可能性に感動した(≒危機感を覚えた)から。業務上携わらない技術をまず触ってもらう会を企画するのはどうか

 

また、RoomA、RoomCでも「コミュニティ活動を活発にする秘訣」や「どのように勉強会のコンテンツをコントロールしていくか」など興味深い議論が行われていたようです。

企業によって抱えている悩みが真逆であったりと、環境によって千差万別なのだ改めて知ることができました。

そして、そのようなあらゆる悩みにも参加する一人一人が真摯に向き合い、アイディアを出していく、そんなところもコミュニティ活動の素敵な点だなと強く感じました。

 

 

今回のMeetUpは社内のコミュニティ活動という部分にフォーカスし、考えを深めることができるいい機会になったと思います。

大橋さんは最後になによりもコミュニティの持つ力を信じることが大切であると仰っていました。私自身も人材教育にかかわる身として、コミュニティの力を信じ、価値ある人材教育の場を築いていけたらと改めて考えさせられました!

 

開催レポートは以上になります。

引き続きデジタル・クラウド人材育成分科会を宜しくお願いいたします!

おなじみのJagu’e’r ポーズでの記念写真!

 

アクセンチュア株式会社 吉田

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