金融分科会 Meetup #3 を開催いたしました

4月26日に金融分科会の第3回Meetupを開催いたしました。今回は「LT大会」ということで、登壇いただいた方々から、沢山のテーマをプレゼンテーションいただきました。19時15分までという予定でしたが、その後のQAで時間を押してしまうほどの盛況ぶりでした! 運営メンバーの松田よりダイジェストでお届けさせていただきます。よろしくお願いいたします!

 

改めて 金融分科会のご紹介

初めに、Google Cloud エンタープライズユーザー会 「金融分科会」につきまして改めてご紹介をさせてください。

金融分科会では、以下の要旨で活動を行っております。ご参加をお待ちしております!

目的:

  1. 金融業界でクラウドを活用した新しい取り組みを実現するための着想を得る
  2. 業界共通の悩みの解決
  3. Global金融での取り組みの研究

募集概要:

  • 対象者: Jagu’e’r会員
  • 定 員: なし

運営体制

  • 分科会長 渥美 俊英さん
  • 運営チーム(みんなの銀行、NRI、Google)
  • 分科会メンバー

 

LT大会 アジェンダ

当日は18時からオープニングということで、運営チームから金融分科会の説明や、参加いただいている方の広がりについて共有をさせていただきました。

そして18時05分から40名近い程度の参加者の皆様と共に、以下の10テーマについてLTを開始いたしました!

 

LT一覧

 

ご登壇いただきました皆様、ありがとうございました!

 

FISC安対基準の項目の歴史と正しいリスクベースアプローチ

一番最初は金融庁の外間さんから、”知っておいていただきたいFISC安全対策基準のこと”ということで、FISC安全対策基準だけを網羅、準拠してもセキュリティ対策は足りていない!リスクベースアプローチ視点での確認をしてほしいとお話をいただきました。

FISC安全対策基準は現在第9版、技術と業態が増えカバーする範囲が広がる一方で、わかりづらい項目や言葉通りにとらえてしまっては本来の意味を見失ってしまう項目がある。「なんのリスクから守りたいか」を念頭に整備をする必要があるという内容で、日頃から”FISC準拠”と準拠することが目的となり、手段が目的が入れ替わるというあるあるな動きにくぎを刺されハッといたしました。

 

ラスボス「メインフレーム」もクラウドへ

日本ティーマックスの多田さんからは、メインフレームのクラウド移行ニーズの高まりと手法についてお話をいただきました。

メインフレームが使われている理由として、可用性・IO処理効率が優れているのもあるが、「現在運用されているから」という理由もも大きい。滞りなく重要視業務が運用されいるにもかかわらず、移行にチャレンジした結果、業務が止まるリスクをおそれているというのがある。一方でメインフレーム維持のリスク(予算・人材不足・老朽化・肥大化等々)も認知されており、失敗リスクを回避しながらの脱メインフレームとDX化の実現が必要であり、その手法についてご紹介をいただきました。

脱メインフレーム、金融分科会のテーマである業界共通の悩みに直結したテーマですね。

 

ドイツ銀行の事例のご紹介

NTTデータの小泉さんからは、ドイツ銀行とGoogle Cloudの戦略的パートナーシップについて、特に2021年6月に開催された両社のトップ会談からお話をいただきました。

両社の協業はテクノロジーの利用にとどまるものではなく、人材やビジネスモデル等々5つの交流を行うことでカルチャー自体を変革し、エンジニアリング、ソフトウェア、テクノロジーを通じた文化に変えていくことを目標とされています。なぜGoogle Cloudが選ばれたのか、これは我々利用者も興味があるところかと思います。ドイツ銀行では複数のクラウドベンダーの中でもGoogleのデリバリ能力とパートナーシップを高く評価しているとのことです。

また最後に、他の分科会の一コマも共有いただきました。分科会をまたいでの交流もどんどん増やしていきましょう!

 

SOMPOにおけるCCoEの取り組み

SOMPOホールディングスの靍井さんからは、SOMPOグループにおけるクラウドCoE(CCoE)の取り組みについてご紹介をいただきました。

グループ会社がそれぞれクラウドを導入していたがばらつきがあった、競争優位を得るため持ち株主体での専門組織を立ち上げたそうです。今まさにGoogle Cloudへのセキュリティガードレールの実装に努めており、ガードレールが実装されたプロジェクトの払い出し、予防的統制、脅威検知・可視化を検討されています。

課題として、まだネット上での情報が少ないというのも共有いただき、Google社の支援のほかにも、金融分科会のようなコミュニティが果たすべき役割も再認識いたしました。

 

SMBCグループにおけるCCoEの取り組み

日本総合研究所の高瀬さんからは、SMBCグループにおけるCCoEの取り組みについてご紹介をいただきました。 CCoE2テーマ目!やはり組織におけるCCoEの注目度や重要性が高まってますね。

これまでは仮想組織であったものが2021年4月専門組織化され、ルールの整備をはじめ、クラウドの障害も収集管理。例えば記憶に新しいSpringの脆弱性なども各クラウドに対して影響がないかなども収集・発信を行ったりしているそうです。また利用者目線を大事に、実効力のあるCCoEのを目指しているとのことで、制限を課すだけではなく、クラウドのメリットを最大限生かしビジネスに貢献するという、CCoE本来の役割を忠実に目指されているのだなと感じました。

 

金融サービスグループに異動して、クラウド人材育成を開始した

アクセンチュアの青柳さんからは、クラウド人勢育成、特にカスケード式トレーニングについて共有いただきました。

アクセンチュアの強みである「限られた時間で成果を出す仕組み」が、転じて技術者育成の落とし穴となり、自ら学ばない状況を作っているというお話はドキッとさせられた参加者の方も多かったのではないでしょうか。確かに効率を求めれば、知ってる人に聞く、サマリーを見る、適材適所の組織とするのは有効ですが、技術者一人一人の専門領域は広がりにくくなりそうです。

そこで、カスケード式トレーニングでは、学習教材として1週間かけて”公式ドキュメント”を読み、その後口頭試問で確認を繰り返す。また面白いのは生徒の一部が講師となることで一部の人への負担集中の回避や教えることでのさらなるスキル獲得を行っているとのことです。クラウド人材の育成はどの企業でも課題であり、大変参考になるお話でした。

 

Google CloudのAnalytics SolutionのUpdate

Google Cloudの谷本さんからは、Analytics Solutionのアップデート特にBigLakeについてご紹介をいただきました。

Data LakeとData Warehouseを統合するストレージエンジンであり、データが存在する場所を意識することなく、BigQueryを含めた任意の分析エンジンから透過的に分析するソリューションで、マルチクラウド環境のストレージへの拡張も可能です。また、BigQuery Omniにより、Azure blobやAmazon S3上のデータもBigQueryにロードしての分析が可能となり、BigQueryがマルチクラウドに拡張されます。これはGAが待たれるサービスですね!(またネーミングがにくいですね。)

 

サステナビリティの最新トピック

Google Cloudの岡田さんから、サステナビリティへの取り組みについて共有いただきました。

直近では、東証のプライム市場でもサステナビリティの項目が評価されるようになり、重要性が増してきているとのことでした。Googleではすべてにおいてサステナビリティを組み込むように努めており、またGoogle自身の取り組みだけではなく、Google Cloudではリージョンごとのカーボンの特性、炭素排出量を公開し、利用者のリージョン選択の材料を提供したり、利用者のプロジェクト単位にカーボンフットプリントを出せるなど様々なレポーティングの仕組みが提供されていることなどを説明いただきました。

Google Cloudを活用することで、結果的に排出ガス削減に貢献することができるというのは、クラウドが提供する技術的なサービスだけではなく、新たな1つのサービスなのだなと理解いたしました。

 

金融機関 × Google/Google Cloud:成長戦略とデータ活用戦略

Google Cloudの猪原さんからは金融機関とGoogle/Google Cloudが付き合う意味という観点でご説明をいただきました。

Googleの使命は”世界中の情報を整理し、アクセスできて使えるようにすること”である。Google から定型データ処理するツール、非定型データを利用可能なデータにする転換機能(AI/ML)、Google自身によるデータ整備(Google Trends, Google Mapsなど)、データの共有に必要なインフラとツールセットこれらを提供することで、データを通じてお客様の理解や潜在ニーズの理解につながり、データを活用した成長エンジンを提供できることであるとのことでした。

Google/Google Cloudが提供する価値を、Amazonの成長エンジンに付け加えて説明されるのは、大変面白く、もっと続きを聞きたかった方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。

 

心理的安全性とのつきあいかた

Google Cloudの湯浅さんから、心理的安全性との付き合い方ということで、心理的安全性の高め方やre:WorkというGoogleの先進事例を集めたサイトを紹介いただきました。

Googleではプロジェクトアリストテレスという、”高いパフォーマンスを上げているチームの条件は何か”を研究した時期があり、結果パフォーマンスの高さと最も相関性が高かったのが心理的安全性であったとのことです。心理的安全性が低いと隠蔽したり表面的な調和、現状維持の蔓延が生じやすく、またそれが他の組織に派生しやすくなるということ。心理的安全性を高めるには仕事は実行の機械ではなく学習の機会ととらえること、自分が間違うことを認めること、好奇心を形にし積極的に質問することが重要であるということを説明いただきました。

Googleでの心理的安全性への取り組みは、皆様興味が高く、その後のQA会でもたくさんの質問が交わされました。

 

まとめ

5分間のLTの10本立て、いかがでしたでしょうか。1時間半、大変に濃い時間となりました。

またすべてのテーマがちょっと5分で終わらせるにはもったいものばかりでしたね。(少しでも、当日の熱気が伝われば幸いです。)

ご登壇された方、またご参加された皆様に熱く御礼申し上げます。

 

最後に、今後も金融分科会は鋭意活動を続けてまいります。運営メンバー、参加者を随時募集中です。みんなで金融業界を盛り上げていきましょう!

 

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