「くらべてみよう CCoE 」Meet Up を開催しました!
みなさま、お疲れ様です。
Google Cloud の黒須です。夏休み期間、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
このレポートは、先日8/3に行われたCCoE 研究分科会 MeetUp 特別編! の模様をお送りしたいと思います。
===
全61社 117名が参加している CCoE 研究分科会、今回の Meetup は特別編ということで、
「くらべてみよう CCoE 」と題して CCoE 実践者のパネルディスカッションをおこないました。
春頃に、DNPの和田さんから「国勢調査みたいなことやったら面白いんじゃない?」とご意見があり、
「面白そうだ!やろう!」ということで、CCoE 研に参加している企業のリーダーの方々に数十にわたるアンケートにおこたえいただいて、統計しました。
その統計結果を、有志メンバーで分析してみたよ、という結果をネタにディスカッションした、というのが今回のイベントです。
果たして、日頃われわれが思っている「 CCoE のベスト・プラクティス」は本当にそうなのか?
今回統計したデータを分析してくれて、パネリストとしてご協力いただいた方々。CCoE 本に登場している方々ですね。
※一部大人の事情でマスクマンとなっています。
・CCoE にスポンサーはマストなのか?
・IT 部門とユーザー部門のコラボはマストなのか?
・CCoE が達成しているとはどういう状態なのか?
などなど、日ごろ皆さんがお気になされている項目も多いかと思います。そんな「きっとこうだろうな」を一つずつ検証していくというアプローチです。
仮説その1
CCoE への役員スポンサーシップはマストである。
「役員の支援はありますか?」 というアンケート項目と、「ご自身の CCoE に対する満足度は?」という項目をかけ合わせてみました。すると下記のような結果に。
- CxOの支援がある企業とそうでない企業で満足度は変わらない。
- 満足度以外の項目においても優位な差は見いだせない。
- 満足度が高い企業の特徴を調査すると、きちんと予算を付けてやるべきことをやる企業の満足度が高い。
資料にもありますが、スポンサーをただ付けただけでは CCoE の達成や満足度に寄与しない、重要なのはそのスポンサーがどれほど濃く CCoE を支援してくれているのか、であるという結果になりました。役員層との関係性を維持していくのは大変ですが、濃い支援(潤沢な予算など)を取り付けていくためにも不可欠なのでしょう。
仮説その2
CCoE はバーチャル組織であるべきだ。
「どのような組織形態ですか?」 というアンケート項目と、「ご自身の CCoE に対する満足度は?」「従業員数は?」「役割は?」という複数の項目をかけ合わせてみました。すると下記のような結果に。
- CCoE には横串機能が必要となるため、多様な意見を取り込めて推進できるバーチャル組織が有効という意見があるが、今回の結果からその傾向は見て取れない。
- CCoE 運営が巡航速度になるまでは、バーチャル組織のデメリットである「責任の所在が曖昧となる」という点がネガティブに働く。
スタート時は、スモール&クイックなスタートを求められることが多いため、比較的既存組織と融合しやすいバーチャル型が選択されることが多いが、そのフェーズによって形態を変えていく必要があるでしょう、という結果でした。スタート時は様々な形態で、責任や裁量を持つためにはいずれハード組織化を視野に、ということでしょう。
仮説その3
IT 部門主体の CCoE は守りの要素が強くなる。
「どのような組織形態ですか?」 というアンケート項目と、「役割は?」という複数の項目をかけ合わせてみました。すると下記のような結果に。守りの要素を担っているか、攻めの要素を担っているのか、という視点ですね。
- 本調査では「統制の深さ」まで確認できないが、IT部門主体の CCoE は守りの要素が強い、という傾向は見て取れない
- クラウド活用を積極的に推進するという攻めの要素に関しては、IT 部門以外を巻き込んだ方が推進力が高い
この調査の背景は、良く言われる「ユーザー部門も巻き込むべき」論の検証です。結果としては、IT 部門主体だからと言ってガチガチの守り一辺倒の CCoE になるか、というとそうでもないようです。ただ、クラウド推進には欠かせない攻めの施策は、やはりユーザー部門を巻き込んだほうがよりベター、という結果でした。
仮説その4
CCoE 達成度は クラウド利用推進度に比例する。
「どのくらいのアカウント数を保持していますか?」 というアンケート項目と、「ご自身の CCoE の達成度は?」という複数の項目をかけ合わせてみました。すると下記のような結果に。組織としてクラウドが推進されている=たくさんアカウントがある状態 だったら CCoE としても達成している感が強いのではないか?という検証です。
結果は・・・。
- CCoEの当初目的はクラウド利用推進。100アカウント以上利用していれば当初目的は達成されているはず
- 10未満と10~100の逆転は目標の変化か?最初はクラウド使うことが目標か。
- この結果から、利用が進むと、目標もレベルアップすると考えられる
- CCoE 意識高い。
当たり前の話かも知れませんが、クラウドの利用が組織として推進(アカウントがたくさんある)されていたとしても、園周辺課題はいつも存在していて、休まる暇は無い、ということかも知れませんね。CCoE は終わりのない旅、とも言えるのか。
では、何が達成度に影響を与えるのでしょう。
この部分の分析を担当してくれた NTT データの伊藤さんによると
- CCoE 専任の担当が配置されていること
- 予算が潤沢に割り当てられていること
は、CCoE に従事する方々の達成感に影響するようです。
また、ガイド更新やイベント開催などをどのくらいやっているか?という設問と回答データから、
- たくさん活動していればしているほど、達成感が高い
ということもわかりました。
つまりは、ここに挙げられているような 「CCoE がおこなうベーシックな活動」をアクティブに継続していくことが、CCoE リーダーやメンバーの達成感に繋がっていくと言えます。なかにはそのような活動量を誇っているにもかかわらず、達成度は2である、というような自分に厳しすぎる回答もあったりして、分析者の伊藤さんは大変苦労されたそうです(笑)。
仮説その5
CCoE の”正式度”と社内ルール更新頻度には高い依存関係がある。
満を持して、シークレットゲストの分析結果です。
「CCoE がその企業内で認知され、正式な組織であればあるほど、社内ルールにしっかりを手を付けているのでは?」という検証です。
結果は下記の通り。
- CCoEが「正式」「認知あり」は16社/37社中
- この群ではガイドラインの更新をしていないのは2社しかなく、残りの14社は何らかの形で更新をしている。
- CCoEが「自称」「定義されていない」のは21社/37社
- この群ではガイドラインの更新をしていない企業がなんと13社にも及ぶ。
やはり、正式な組織、認知されている CCoE ほど、必須であるガイドライン更新や、社内規定、ルールに対する裁量が認めれており、手を付けられている、という結果でした。企業のクラウド化を推進する CCoE。このあたり意識してすすめたいですね。
おわりに
今回は CCoE 研初めての試みとして、ハイブリッド開催にしました。15回目くらいのMeet Upで初です。
オンラインでの参加も30名ほどいらっしゃいました。
初めてお会いする方もいたりして、1年半経っているのに不思議であり、また嬉しくもありました。コロナが油断できない状況ではありますが、しっかりと感染対策をしたうえで、ストレスのない運営をこれからも継続していければと考えています。
CCoE として活動を始めた、あるいはこれから始めるという方は、情報収集や相談の場として Jagu’e’r の CCoE 研究分科会を活用いただければ、と思いますので是非ご検討ください。
最後までお付き合いいただき感謝です。また次回もよろしくお願いします!
Jagu’e’r 入会URL
CCoE 研究分科会 入会URL
【お知らせ】
各企業における CCoE の実践者、知見者が集まって作った書籍が好評発売中です。
DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス
Jagu’e’r CCoE 研究分科会
Yoshikazu Kurosu