Pick Up the CCoE Story – Apptio編 – ユニットエコノミクスの追求

Jagu’e’r CCoE 研究分科会には様々な CCoE 実践企業が参画しています。

このシリーズでは、ひとつひとつの組織ごとに異なる CCoE のストーリーを深堀りしていきたいと思います。

第2回目は、Apptio Japan で CCoE を多数ご支援されている宮原さんに執筆いただきました!

 

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Apptioの宮原です。


ApptioはCCoEのミッションの1つである「コストマネジメント」を支援するSaaSを提供しています。欧米ではFinOpsというクラウドファイナンスのメソドロジー(方法論)が主流ですが、このFinOpsとCCoEの関係性についてご紹介します。

 

 

 

Apptioから見たCCoE

Apptio は世界中の多くのエグゼクティブやCCoEの皆様とお話をさせて頂く機会が多数ありますが、その会話等から導き出されるCCoEが意識すべきポイントは、

  1. 影響力
  2. KPIドリブン
  3. オープンマインド
  4. 先進性
  5. 顧客中心

の5つであり、以下3点に集約されます。

  1. 意思決定スピードを高速化するためにも、エグゼクティブスポンサーを巻き込む事
  2. これまでの前提や思い込みを排除し、そして現状に固執しない事
  3. ビジネスニーズに応じた意思決定をし、投資に応じたKPIやROIをモニタリングする事

また、これからCCoEを設立する、あるいはチームを拡大する際に悩まれる事の1つに

「どういうメンバーに参画してもらうべきか?」があると思います。

同じ視点を持ったメンバーや同じ経験をしてきたメンバーを集めるという手段には利点もありますが、一方で先に記載した意識すべきポイントを考えると不十分な面があります。
よって「様々な役割やロール」、「ビジネスサイドとテクニカルサイド」、「クラウド経験者とオンプレミス経験者」など偏りのない多様なメンバーに参画してもらう事で多角的で信頼性が高く、クラウド利用において重要な「スピード・品質・コストのトレードオフ」をコントロール出来るチームになると考えます。

 

CCoE と FinOps

CCoE についてはこれまでのブログでも多く語られていますので、私からは FinOps についてお伝えしたいと思います。
FinOps は Google や Apptio などが参加しているFinOps Foundation が提唱するメソドロジーであり、変動費であるクラウドコストに対して財務面での説明責任をもたらし、クラウドに関連する全てのチーム・人の連携を促進することで「スピード・品質・コストのトレードオフ」を行いながら、収益の増加や顧客数の拡大などのビジネス価値を最大化する事を目的とした方法論です。

 

この FinOps はカルチャーを変革させますので、各関係者にとって中立的な役割となるFinOpsチームを組成する必要があり、アプローチとしては

 

  1. CCoE内にFinOpsチームの機能を持たせる
  2. CCoEとは別にFinOpsチームを設立する(CCoEとFinOpsで協業する)

の2つあります。

各企業の戦略等によってアプローチ方法は変わってきますので、どちらが良いかは一概には言えませんが、カルチャー変革には時間がかかりますので、FinOpsに早く着手出来るアプローチを取って頂くのがベストです。

 

クラウドにおけるコストマネジメントの重要性

従来のオンプレミス投資は固定費および CapEx 中心であり、中長期のコスト推移が予測しやすいためコストを把握する頻度は年・四半期・月の粒度で十分でした。

一方、アジリティやイノベーションなどのメリットを享受出来るクラウド投資は変動費および OpEx 中心であり、時間単位やギガバイト単位などの課金が一般的であるため、週・日・時間の粒度でコストを把握する必要があります。

またデジタル化などに伴いビジネスの変化スピードはますます高速化しておりますが、利用者側(市場ニーズの変化等)とクラウドプロバイダー側(契約形態や SKU の進化等)の双方が変化している状態のため、共通言語でリアルタイムに誰もがクラウドの利用状況を把握出来る仕組み作りが必要不可欠です。

ユニットエコノミクスの追求

クラウドはアジリティの向上やイノベーションを加速させるためのレバーであり、収益の増加、顧客基盤の拡大、製品リリーススピードの向上などを実現するための基盤ですが、KPIドリブンのマネージメントが重要になります。

「ユニットエコノミクス」とは、KPI などのビジネス指標とクラウドコストの関係性を可視化する事で、

「クラウドにいくらかかっているか?」

ではなく、

「クラウド投資がどうビジネスに連動(貢献)しているか?」

を把握出来るため、アクセル(追加投資)やブレーキ(削減)の判断を迅速に行うことが出来る考え方です。
ただ単にクラウドコストが増えすぎたからクラウドの利用を減らそう・辞めようという判断は将来のビジネスチャンスを掴み損ねるリスクがありますので、コストとKPIの両軸でマネージメント頂く事を推奨します。

いかがでしたでしょうか?

以上、FinOpsとCCoEの関係性を中心にクラウド利用に関わるコストマネジメントの重要性等についてご紹介させていただきました。
お読み頂いた皆さまの、CCoE 活動の一助になれば幸いです。

最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。

 

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Jagu’e’r CCoE研究分科会

Kazunari Miyahara(Apptio Japan)

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