Pick Up the CCoE Story – KDDI編 – リーダーの危機感と成長が、会社を変える

Jagu’e’r CCoE 研究分科会には様々な CCoE 実践企業が参画しています。

このシリーズでは、ひとつひとつの組織ごとに異なる CCoE のストーリーを深堀りしていきたいと思います。

初回は、KDDI 株式会社で CCoE をされている柴田さんに執筆いただきました!

 

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KDDI の柴田です。
私は某 SIer でのインフラエンジニアを経て KDDI にジョインしました。
現在は KDDI の技術戦略グループに所属し、CCoE として社内のクラウド利活用推進に取り組んでいます。

今回のエントリーでは、KDDI CCoE の概要と取り組み、今後の展望についてご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KDDI CCoE のルーツ

KDDI CCoEは、社内のクラウド活用のけん引役として、2020年4月に設立されました。
CCoE 連載第7回で PwC の饒村さんが解説くださった設置形態でいう、「独立型」の CCoE です。

 

CCoE の話題に先駆け、CCoE 設立に繋がる KDDI のクラウド活用について少しお話します。

KDDI のクラウド利活用は、2016年4月から公式にパブリッククラウドを採用したところに端を発しています。

クラウドの公式採用までには、”通信会社特有のオンプレミス志向”や”クラウドへの根本的な理解不足”など、さまざまな社内課題を乗り越える必要がありましたが、クラウド活用による事業貢献に強い熱意を持った同僚の大橋をリードに、パブリッククラウド公式採用推進チームとそれをサポートする上司の方々が一丸となり、周囲を巻き込んでクリアしてきました。

思えばこの頃から、KDDI に CCoE が設立されるのは自明だったのかもしれません。

こうして晴れてクラウドを公式に採用することとなったKDDIですが、その後も課題をいくつか抱えることとなります。
うちの一つが「クラウド活用のけん引役が不在」という課題で、その解決のためにCCoEが設立されました。

クラウドの公式採用に尽力したメンバーの活動がルーツであったことから、設立当初は独立型のCCoEとしてスタートしました。

 

組織横断型 CCoE への変遷

独立型の形態でスタートした CCoE は、セキュリティ部門や運用部門といった関係部署と連携を図りながら、2020年度に以下のクラウド活用アクションに取り組みました。

 ・クラウドに関する情報発信
 ・クラウド初心者への技術教育
 ・クラウド利用ルールの明確化/改善

上記は、検討体の立ち上げを CCoE が行い、責任主管を明確化した上で、検討体の運営や検討の主体自体は各部門に委譲する形で活動を行っています。

というのも、クラウド活用が進むとともに課題も多岐にわたることとなり、独立形態の CCoE では課題解決のための人的リソースが不足しがちになるためです。

そこで、リソース不足に陥らずに社内のクラウド活用を継続的に行っていくために、関係部署を巻き込む形で人的リソースを確保するとともに、クラウド活用を全社課題として捉えて推進していく文化を醸成することも視野に入れた活動を行いました。

この方針で1年間活動した中で、全社での活動へ向けた下地が整ったと判断したこと、また、独立型の CCoE がハブとなって関係各所をリードしてきたことによる情報連携のオーバヘッドや、関係部署間の情報格差が発生してきたことに鑑み、2021年4月から組織横断型のバーチャルチームへ移行しました。

 

バーチャルチームとしての CCoE 活動

バーチャルチームへ移行したCCoEでも、2020年度の活動に引き続き、クラウドに関する情報発信やクラウド利用ルールの明確化/改善活動等、精力的に活動を行っているのが現在のステータスです。

今回はその中でも、特に力を入れて活動しているコミュニティ活動についてご紹介します。

KDDIでは、KCLUG(KDDI Cloud Users Gloup)という社内コミュニティを立ち上げています。

KCLUGは、KDDI社内のクラウド利用者/活用者/開発者同士が、お互いに情報交換を行ったり、障害情報やサービスアップデートなどの有用な情報を共有しあったりすることで、クラウドに関する知識のベースライン維持やスキルアップを行うことを目的としたコミュニティです。

CCoEとしては、この社内コミュニティに有益な情報やイベントを提供することで、コミュニティメンバーによるクラウド活用の自走を促す活動を行っています。

直近、その一環として、KDDIクラウド活用アイディアソン2021というイベントを開催しました。

このイベントは、2021年度初にすべてのクラウドをフラットに扱えるように社内ルールが改定されたことから、社内の開発担当者が各クラウドの特徴や思想を掴み、特定のクラウドにとらわれず最適なクラウドを選択できるようにクラウドの活用方法のアイディアを出し合うイベントでした。

参加者からの反響も大きかったことから、ルール改定による社内のクラウド活用変革が進んでいくことを期待しています。

KCLUGのユーザ数は2021年10月現在で700名を突破し、どんどん活発化しています。
これからも社内のクラウド活用拡大に資する”燃料”をたくさん投下し、CCoEとしてコミュニティ活動を推進していく予定です。

 

CCoE の未来

最後に、CCoEの未来について、私個人の思いを載せたいと思います。

 

バーチャルチーム化したCCoEのその先には、社内組織を問わず、社内の有志が自発的に課題解決やクラウド利用に挑戦する未来があるのではないかと思っています。

クラウドの先進的なユーザは、社内の他部署や社外、つまり外にいることが多いので、社内コミュニティをベースとして社内外の交流を活発化させることで、クラウド活用をさらに進化させていく好循環が生まれる組織を目指したいと考えています。

このGoogle Cloudのコミュニティ「Jagu’e’r」におけるCCoE研究分科会の活動を通じて、社外にいる多数の先進的なクラウドユーザとの交流を生み出すことも、先述の組織実現のための重要なファクターと考えています。

KDDI CCoEでは、クラウド活用をリードし、事業貢献やクラウド認知度の向上に寄与した社員を認定、および、表彰するプログラムも始動させており、社内のクラウド人材育成やプレゼンス向上にも努めています。

社内のクラウド人材を増加・向上させていくとともに、その中核をCCoEが担うことで、描いた未来のようなクラウド活用を実現し、より一層の事業貢献を果たせるよう邁進したいと思います。

 

ここまで、KDDI CCoE の概要とその取り組み、そして今後の展望についてご紹介させていただきました。
いかがでしたでしょうか。

お読み頂いた皆さまの、CCoE 活動の一助になれば幸いです。
そして可能であれば、CCoE としてぜひコラボレーションさせてください。

最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

 

【お知らせ】

KDDI の CCoE ストーリーも掲載されている書籍が発売されます。

DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス

 

Jagu’e’r CCoE研究分科会
柴田 翔平(KDDI 株式会社) 

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