関西分科会 第8回 Meetup
オープニング
関西分科会Meetupを開催しました。
半年ほど空いてしまいましたが、20名の皆様に集まっていただき感謝!!


開幕です!
(記: 株式会社2way 平岡 雅康)
セッション1: AIを活用して業務プロセスを改善する
発表者: クラウドエース株式会社 杉山 裕亮
業務プロセス改善に AI を活用しようとした時、最初に取り組まれるのは、総務や情シスなどの問い合わせ回答や、顧客からの商品に関する問い合わせサポートのためのチャットボットではないでしょうか。
そのためには自社ルールや商品マニュアルを参照して回答する RAG を作ることが必要になりますが、そもそも RAG に入れられる構造化されたドキュメントやマニュアルが揃っておらず、それらを整備する工数が現場組織で確保できない…
と既存業務プロセスのナレッジの整備状況がボトルネックになってしまうことがあります。
しかし、これらのナレッジ整備にこそ AI が活用できます。
全てのドキュメントが揃っていなくても、まずは手元にある断片的な資料などで良いので、利用目的を定めて投入することにより AI が最適な形で必要なドキュメント構成を提案・作成してくれます。
また、ドキュメントをもとに想定される質問を生成し、あらかじめこんなFAQを作っておくと良いですよ、という提案をさせることもできます。
これにより、チャットボットが回答に必要なナレッジを AI で効率的に作成できます。
必要最低限のナレッジができたら、早速、業務に活用します。
従来、担当者が slack などのチャットツールで受けていた質問を、このチャットボットをメンションするようユーザーにアナウンスするのみです。
もちろん、チャットボットは、最初は適切な回答ができない質問もあるので、適宜、人間での回答のサポートを行う必要がありますが、 その回答履歴をAIに取り込むことで、自動でドキュメントやFAQを更新し、次回からは適切な回答ができるようにフィードバックループを回すことができます。
まとめ)業務プロセス改善に活かすAI活用のポイント
- チャットボットによる回答だけでなく、ナレッジの整備にも活用
- 問い合わせをチャットボットにすることで既存業務プロセスに容易に組み込み
- チャット履歴を使ってフィードバックすることで自動でRAG改善
最後に、チャットボット設計の注意点をまとめます。
- ナレッジの単位
- チャットボットが参照するナレッジの単位は1つの特定分野に絞るのが管理しやすいです。
- 数が増えてくるとユーザーが適切なボットを選ぶことが難しくなってくるので、受付ボットが裏で専門ボットに振り分けるエージェントのような機能が求められることになるでしょう。
- アクセス制御
- 機密性の高い情報を使った回答をするチャットボットは、プライベートチャネルで扱うのが一番シンプルな方法です。
- 受付ボット方式にする場合、回答してよい内容かどうか判定するアクセス制御を作り込む必要があります。
(記: 株式会社 Hogetic Lab 古川 人士)
セッション2: 幅広い業務の自動化を目指すAIツール
発表者: 吉積情報株式会社 後藤 颯音
近年、AIの発達は凄く、文字起こしであったり、テキスト分析であったり、業務に活かせそうなAIが登場している。
中でも身近なのは、ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデル(LLM)ではないだろうか。
とはいえ、一個人として利用する人が多く、組織として導入している所はまだ少ないだろう。
ただ、どこが作ったかよくわからないツールを個人として利用すると、会社の機密情報が漏洩してしまう恐れがある。
また、導入するとして、「情報流出は大丈夫?」であったり、「皆んな簡単に使えるの?」であったり、「利用できる回答してくれるの?」であったり、悩みや懸念はあるだろう。

今回はこれらの懸念を解決するチャットツールを紹介する。
このチャットツールは、複数の生成AIモデルを併用し、より正確な文章を生成するツールである。
以下が主な特徴である。
情報流出対策:AIに学習させないようにしたり、キーワードを置換したり、利用状況を可視化したりすることで、対策している。
操作性:プルダウンやチェックボックスなど選択式のものが多かったり、プロンプトが共有できたりと使いやすいツールとなっている。
ハルシネーション対策:複数の生成AIモデルが利用可能で、回答結果が比較できるため、正確な生成結果を検討できる。
このように導入の悩みを対策しているため、組織として大規模言語モデルを利用するのに適しているのではないだろうか。
(記: 参加メンバー)
セッション3: みんなのAI事情
発表者:(参加者全員でグループディスカッション)

2つの発表の後は、休憩を挟みつつ、4つのテーブルに分かれて各社のAI活用状況についてトークを繰り広げました。テーマは「みんなのAI事情」。自己紹介・各自のAI事情についてトークを楽しんだ後、各テーブルで話した内容を発表していきました。

Aテーブルの発表は、小売業界・放送業界の企業でのAI活用がメイン。Google Workspaceを導入している企業でのGemini利用はもちろん、AIを使ったリコメンド機能やグッズのイラスト画像生成機能の開発など、幅広く活用されている事例が印象的でした。FAXで届いた情報をPDF化してAIに分類させるなど、非構造化データの分析も進んでいるそうです。
Bテーブルの発表では、個人のバンド活動で作曲にAIを使ったお話が印象に残っています。人が作った歌詞を元にAIに作曲してもらうとのこと。「人が音程をあわせる時代は終わった」というワードも飛び出し、場が盛り上がりました。
業務でのAI利用についてのお話では、上司からの英語お怒りメールをAIで博多弁に翻訳・要約させるというユニークな使い方も登場しました。
Cテーブルでも、FAXで届いた情報の読み取りや、建設図面の中にある表の読み取りなど、非構造化データ分析の話題が出ていました。その他にもNotebookLM・DeepResearchを使った論文解析から、SlackでのChatBot作成とGemini連携、電話応対における感情分析まで、幅広いユースケースが紹介されました。
私が参加していたDテーブルでは、まず「社内でのAI活用、あんまり出来ていない……」が話題に。部署によってAIの知見にムラがあり、社内の申請がスムーズにいく部署とそうでない部署が分かれている、という事情も垣間見えました。会社でNGにしていても個人が勝手に使うリスクの話も出てきて、セキュリティを確保するためにどうする?という情シス目線でのトークが繰り広げられました。
その後は、RAGを作ろうとしたけど……Geminiでいいんじゃないか?となったお話や、スライド/スプレッドシートのサイドパネル活用のお話など、Geminiを中心とした話題で盛り上がりました。
さまざまな業界のメンバーが集う地域分科会だからこその、幅広い「みんなのAI事情」を聞くことができて、大変多くの刺激をもらえる機会になったと思います!
(記: フェンリル株式会社 太田 有人)
クロージング

場所を提供して頂いたフューチャー様ありがとうございました!
そして、運営の皆様・参加頂いた皆様ありがとうございました!!

冬の名物「みかん」を提供してみましたが、想像以上に早く無くなりました
(記: 株式会社2way 平岡 雅康)