開催報告:エネルギー分科会#2【エネルギー×テクノロジーの活用を考える】

皆様、こんにちは。
9月8日(金)に、2023年より発足した”Jagu’e’rエネルギー分科会”の第2回MeetUpを開催しましたので、本イベントの内容をご紹介します。

今回は、「様々なファクターがあるなかで、エネルギー×テクノロジーの活用を考える」と題し、エネルギー・テクノロジーの有識者の方々に、LT(ライトニングトーク)形式で発表いただきました。 最新の技術の利活用に関する知見や所属企業様の事例を学ぶことができ、第2回イベントもとても有意義なイベントとなりました。

 

 

当日の雰囲気

本MeetUpはフューチャー株式会社のThinkPark Towerオフィス(東京都品川区大崎2丁目)とオンライン(Google Meet)のハイブリット形式で開催されました。

オープニングでは、分科会運営責任者であるフューチャー株式会社の住健太さんより、改めて分科会の趣旨説明とエネルギー業界に対する思いを発表いただきました。

当日は台風の予報でしたが、結果として第2回イベントは総勢20名以上の皆様にご参加いただき、オフライン・オンラインとも盛り上がりを見せました。

 

 

 

 

エネルギー分科会について

エネルギー分科会は、エネルギーに関わる様々なテクノロジーの取り組み事例の共有のみならず、
逆に、テクノロジーカットからエネルギーに関連する領域への適用案の共有や提言、他の領域への展開なども含め、幅広く、交流・意見交換ができる場として生まれました。
世界が脱炭素や分散型モデルなど変化があるなか、ここに、テクノロジーを上手く組合せていくことで、日本を元気にしていく新しいことにチャレンジするキッカケの場にしたいと考えています。

 

当日のプログラム紹介

LT1:J-クレジット制度と課題について

LTのトップバッターとして、株式会社メビウスの高橋 正幸さんが登壇。

注目のテーマは環境省などの主導で実施されている「J-クレジット」という温室効果ガス削減制度についてでした。

「J-クレジット」は、未来の炭素吸収量を予測し、それに対応するクレジットを発行する制度。しかし、長期的な炭素吸収計画を提出する必要があり、更に森林を成長させるためのメンテナンスとモニタリング計画も必需品。

森の成長は一晩で、というものではないので、この制度はかなりの長期戦となります。

さらに、J-クレジットには問題も多く存在します。以前の作業記録が間違っていたり、変更履歴が消えてしまっていたりという実際的な課題だけでなく、森林のモニタリングが必要という点も大きな負担となっています。

これに対して高橋さんの提案された解決策が「Google Earth Engineによる衛星データモニタリング」。このツールを使えば、誰もが簡単に森林の様子を監視し、計画とのズレを確認することが可能とのこと。

これからの森林管理の一助となるかもしれない「Google Earth Engineによる衛星データモニタリング」とはどのようなものなのでしょうか?

高橋さんはGoogle Earth EngineのDynamic Worldを用いて、土地被覆データセットから植生の把握や灌漑面積を算出することで、効率よく森林をモニタリングする手法を確立しました。

課題もありますが、Google Earth Engineの特徴を生かした可能性あふれる素晴らしいアイデアでした。

 

 

 

LT2:Google Earth Engine/エネルギー業界における活用可能性について

続いてのLTでは、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社の黒田さんから「Google Earth Engine/エネルギー業界における活用可能性について」と題しGoogle Earth Engineの特徴とエネルギー業界における活用可能性についてプレゼンいただきました。

はじめに、Google Earth Engineは、地球の様子を衛星画像によって可視化・分析できるクラウドベースの地理空間分析プラットフォームであり、様々なデータセットやアルゴリズムが利用可能です。

最近では、BigQuery・Google Map・Vertex AIを総合的に利用した地理空間データ分析のアプリケーションも構築が可能になったとのこと。 プレゼン内で一番驚いたのは、そのデータ量です。

現在月間データ増加量が約1ペタバイトであり、総データ量は100ペタバイトを超えているそうです。想像もつかないデータ量ですが、研究や商用利用として多くの可能性があるサービスだということは理解できました。

このGoogle Earth Engineのエネルギー業界における活用可能性について、黒田さんが3つ提案してくださいました。

1つ目はエネルギー資源の管理です。衛星画像を用いて天然ガスの埋蔵場所を管理したり、石炭採掘の環境影響を評価できる可能性があります。

2つ目は再生可能エネルギーの開発・利用です。風力発電の風況調査や太陽光パネルの設置場所の選定・パネル上の埃なども確認できるそうです。

3つ目はエネルギー効率の向上です。建物のエネルギー消費量の分析に活用できるそうです。 中でも太陽光パネルに関しては実用可能性が高く、太陽光パネルの汚れをほぼリアルタイムで監視することができつつあり、実現すれば、手動による方法に代わる有用な手段となりえそうです。

Google Earth Engineに関しては、先ほどの高橋さんのプレゼンで初めて知った程度の私でしたが、その可能性と有用性に驚かされる時間となりました。

 

 

 

LT3:STNetの取り組みのご紹介

LTの最後は、株式会社STNetの吉本さんです。STNetでは、中期戦略の挑戦領域としてクラウド分野の強化に積極的に取り組んでいます。

その1つとしてハイブリットクラウドに取り組んでいますが、このハイブリッドクラウドは、プライベートクラウドとパブリッククラウドという異なる環境を組み合せて利用するハイブリッド形態のコンピューティング環境です。

 

STNetでは、重要なデータは同社のデータセンターであるパワリコに設置されたサーバーに保存し、先進的なAIやデータ分析機能等はGoogle Cloudを利用するハイブリッドクラウドの形態でデータ分析基盤を構築し、社内外でデータ活用に向けた取り組みを進めています。

これまでの手段では分析が難しかった大容量のデータを、様々な切り口でスピーディーに分析することが可能となり、新たな知見を得ることができているそうです。

今後解析したデータからどのような成果が得られるかとても楽しみになる発表でした。

 

 

 

懇親会の雰囲気

LT後にはJagu’e’rポーズ(本記事サムネイル)で閉会し、懇親会を行いました。

現地の方々で美味しいお酒とおつまみを頂きながら、より深い話ができオフラインでも開催できて良かったと実感しました。

私は初の現地参加でしたが、普段接する機会がない方々と親睦を深めながら、新たな知見を得ることができ、本イベントに参加できてよかったです。

次回のイベントもぜひ参加したいと思います。

 

 

まとめ:今後のエネルギー分科会開催情報

エネルギー分科会は四半期に1回程度のMeetUp定期開催を目標に、エネルギー業界の近況やエネルギー×テクノロジーの取組事例共有など、”日本を元気に”するための交流を広げていきます。

また他Jagu’e’r分科会や、外部コミュニティ・イベントとも積極的にコラボし、エネルギー分科会に閉じない広い交流をしていきたいと思います。

次回は2024年の3月ごろにイベントを開催予定です。

最後に、エネルギー分科会に興味ある方はぜひ、分科会の参加や運営など一緒に盛り上げていきましょう!

運営やLT、イベントに参加いただける方はこちら Googleフォーム<https://goo.gle/Jaguer_Energy