活動報告: ヘルスケア分科会 第7回イベントレポート

皆さま、こんにちは!ヘルスケア分科会です。

第7回のMeeupは、設立1周年ということで、Google 渋谷ストリームを使ってハイブリッドで、かつ盛りだくさんの内容でお送りしました。

ヘルスケア分科会一周年企画

新オーナー紹介

設立当初からこれまでシスメックス株式会社 増森さんとGooglerのTeppeiさんがオーナーを務めてきましたが、1年経過したということで、オーナーを次の2名にして進めていくことになりました!

尾崎さんと私(関口)は設立当初から、ヘルスケア分科会の運営に携わってきました。

それぞれ分科会オーナーという立場は初めてではありますが、ヘルスケア分科会でいろいろな企画を進めてみたいと考えています。メンバーの皆さんも、取り組んでほしい企画などありましたら気軽に運営までお声がけください。

よろしくお願いします!!

ベストコントリビューター発表

さて、もう一つの1周年企画は、この1年を通じてヘルスケア分科会で様々な形で貢献していただいた方を表彰しようというものです。

それぞれ次のようになりました!

  • ベスト登壇賞
    • 三宅 佑弥さん(株式会社テックドクター)
  • ベストSlack賞
    • 硴﨑 裕晃さん(株式会社MICIN)
  • ベストブログ賞
    • 山本 竜玄さん(フューチャー株式会社)
    • 泉 啓太郎さん(株式会社エヌデーデー)※都合により欠席につき文面でのコメントをいただきました

三宅さんは年間Meetupの登壇を通じて最もアンケート評価が高かったことを表彰いたしました。難しい内容もわかりやすく楽しく説明していただいたのが印象的でした。

硴﨑さんはヘルスケア分科会(だけでなく)のSlackチャネルで、最近のAI事情などたくさん興味深く、有益な情報を投稿していただいたことで表彰いたしました。

残念ながら欠席でしたが、泉さんそして山本さんは分科会ブログの執筆に積極的に参加していただき、ステキな記事を書いていただいたことを表彰いたしました。

来年もベストコントリビューターを表彰したいと思いますので、メンバーの皆さんも積極的にご参加ください!

左から山本さん、硴﨑さん、三宅さん

(株式会社エヌデーデー / 関口貴生)

BQ×LLMでマーケティング分析 / Ubie株式会社 風間 正弘さん

続いてUbie株式会社の風間さんより発表をしていただきました。

風間さんは大学院時代から機械学習の研究をされていて、Ubie株式会社に入社した現在もデータサイエンスをされているそうです。

本も執筆されていて、まさにデータ分析、機械学習のプロですね。

Ubieさんでは、医療機関向けと生活者向けの二つのサービスを提供しているそうです。

生活者向けの「ユビー」には私も時々お世話になってます。

現在Ubieさんでは生成AIをプロダクトと社内の生産性の両面で活用できないか、そして組織横断的には基礎技術検証や、リスクに対する検証を行っているそうです。

また、この会で登壇されている硴﨑さんらと生成AIを利用するためのガイドラインの策定に携わっていたりするそうです。

具体的なサービスへの適用例としては、患者さんが来院して受付する時に、事前にタブレットの問診票に症状や既往歴などを入力したものを登録しておいて、診察の時には入力された問診の内容をお医者さんが見られるという仕組みを改良し、それまで箇条書きで書かれていたものを生成AIが要約して自然な文章にし、わかりやすくしたそうです。

また、病院内の文書作成業務を生成AIで支援するという事も発表されていて、医療機関における生産性向上というに役立っているそうです。

また、その他Ubieさんで生成AIを活用している事例を10選挙げていただきました。

こちらは、ブログにも詳しく紹介されているそうなので、リンクからたどっていただくと良いかも知れません。

https://note.com/masa_kazama/n/n0f340ab3a3d8

個人的には「ギャル語による分かりやすい説明」にとても興味を持ちました。単に「ギャル語」という面白さに惹かれるというのもありますが、これによって非エンジニアの方々が生成AIとの会話に親しみを感じるようになったということで、社内で活用するための導入にはとてもいいアイディアだと思います。

これらの生成AI活用10選の中でも、今回はBigQueryとLLMを使った事例について詳しく解説していただきました。

Ubieさんの生活者向けサービスの「症状検索エンジン ユビー」において、ユーザーがアクセスした時の流入キーワードを分類していくということをBQとLLMを使って実現したそうです。

それによって、SEO対策や、コンテンツの強化にも役立てることができるそうです。

生成AIというとOpen AIが有名ではありますが、BQにデータが蓄積されている場合は、BQのデータをそのままLLMで利用できるので適材適所で活用するのが肝だそうです。

どういいう検索キーワードで、そのWebサイトへのアクセスしてきたかを知ることができるSearch ConsoleのデータをBigQueryにエクスポートして、そのデータにSQLを実行して分析するのですが、その際、BigQueryの特徴である、LLM関数を加えることで、検索キーワード分類が容易になったということなのです。

下図の様なSQLなのですが、BigQueryに入っているそれぞれのレコードの内容を精査して「intent」で指示されている分類に分けて出力してくれるそうです。

SQLを実行した結果の例が次の図です。

この出力例では、簡単な問い合わせ文言ですが、もっと長い文章でも対応できそうですね。

また、多くのコンテンツを提供しているため、ユーザーに対して参照しているコンテンツに似た別のコンテンツを紹介する「コンテンツレコメンド」でもBigQueryのエンベディングという機能を使って実現できるそうで、これによってユーザーがWebサイトを回遊することにも役立つそうです。

下の図がエンベディングを用いて、コンテンツ同士が似ているかどうかを検証するためのSQLです。

風間さんもおっしゃっていたのですが、通常だとPythonなどのプログラム言語でこの辺りを計算したり、またデータを準備したりということが必要なのですが、BigQueryにSQLを指示するだけでできてしまうことが驚きですよね。

BigQueryにデータを貯めるようにすれば、SQLだけでもかなり高度な事ができるということを教えていただきました。

(株式会社エヌデーデー / 関口貴生)

ヘルスケアデータのマネタイズポイント / グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 長尾 剛司さん

薬剤師免許も所持されているGoogle Cloudの長尾さんからのお話です。

ヘルスケアといっても、細かく分けて考えられているとのことで、製薬に関わる流れを詳しく説明していただきました。

製薬会社の情報提供活動は、情報提供する相手によって情報の濃度/粒度が違ってくるため、担当を分けられているとのことです。

昭和の時代のような過去はオフライン中心だった情報提供活動はコロナ禍もあり、オンラインも増えていき、対面でまとめられていたデータベースをハイブリッドに対応させるところに課題があるとのことです。

情報提供側だけでなく、情報をもらう側も多様化しており、Webの情報だけでもいいということもあれば、面談で直接という場合もあり、マルチチャネルで最適な情報提供方法を模索されているそうです。

医療用医薬品は一般CMや広告を打つことは規制されているというのは存じていませんでした。

一般消費財と認知モデルに大きく違いがあるというのは興味深いです。

そして、一般消費財とは違い、消費者のデータではなく、医療施設、医療関係者、医薬品のデータこそが重要というのには「なるほど」となりました。

非常に深いお話をしていただき、ありがとうございました。

(CTCシステムマネジメント株式会社 / 古林 信吾)

「ヘルスケア事業者のための生成AI活用ガイド」の概要 / 株式会社MICIN ・ JaDHA(日本デジタルヘルスアライアンス)ガイドライン検討メンバー 主執筆者 / 硴﨑 裕晃さん

JaDHA(日本デジタルヘルスアライアンス)のメンバーである硴﨑さんより「ヘルスケア事業者のための生成AI活用ガイド」について発表をいただきました。

(硴﨑さんは株式会社MICIN所属でもありますが、今回はJaDHAメンバーの立場での登壇とのことです。)

JaDHAは2022年に設立された比較的新しい団体で、製薬デジタル研究会と日本DTx推進研究会を統合されて設立された組織とのことです。

(JaDHAホームページ:https://jadha.jp/)

団体の興味深い話として、所属している84企業の分布についても話していただきました。

一般的な業界団体としては、特定のドメインの企業で集まることが多いですが、JaDHAについては製薬企業、医療機器企業、スタートアップなど、デジタルヘルスケアに興味関心をもつ企業が参加しているため、業界横断的な組織となっているとのことです。

JaDHAの活動としては、WGという単位で4つの主な活動があるそうです。

WG1~3については、SaMD(Software as a Medical Device:プログラム医療機器)と呼ばれるような、まさに医療業界の規制に関する領域として、国に対して政策提言をしていくような活動を行っているそうです。

この領域の話も気になるのでいつか聞いてみたいですね。

WG4の中でも、生成AIの技術の進出を背景に活用ガイドライン策定などのSubWGが発足されたとのことで、そちらの活動について今回お話しいただきました。

以降は実際にWGで作成し、2024年1月に一般公開された「ヘルスケア事業者のための生成AI活用ガイド」について説明いただきました。

発足の背景としては、ChatGPTをはじめとした生成AIの技術が進出した時期に、症状のことについて相談できるチャットボットのようなサービスが出現したこともあります。

そのような規制がされていない、医療機器のようなサービスが出現することで不利益が生じるということが懸念であったそうです。

そのため、このガイドとしては薬機法や医薬品医療機器等法で規制されるSaMDではなく、主にNon-SamDと呼ばれる領域を対象としているそうです。

議論のための整理として、生成AIのバリューチェーンについても可視化されていました。

とてもわかりやすく、見やすい図に感動しました。入れ子の構造になっていて、インプット・アウトプットについても複数の論点があることがひと目で分かりますね。

ガイドでは、チェックポイントをいくつか設定しているとのことです。

個人情報保護や、広告規制などの規制・規約についても確認観点となっていますね。

各チェックポイントごとに資料が作成されており、以下のようなスライドで記載されているとのことです。

また、これらのチェックポイントについて、事業者向けにExcelシートとして公開されているとのことでした。

ダウンロードしてすぐに使える形となっており、大変ありがたいですね。

執筆時点では、以下のページからダウンロードすることができました。

https://jadha.jp/news/news20240118.html

最後に、「ヘルスケア事業者のための生成AI活用ガイド」の今後についてもお話しいただきました。

フィードバックを基にしたアップデートを前提としているため、第2版の検討に着手していること。政府が公開している「AI事業者ガイドライン」との整合性の確認中とのことです。

今後は、ガイドの実効性を高めるべく、AI関連実務経験者からの意見も積極的に取り入れていきたいとのことでした。

この発表では、「ヘルスケア事業者のための生成AI活用ガイド」の作成の経緯や、実執筆者の目線から紹介をいただきました。

生成AI関連はまだまだ新しい領域であり、激動の時代となっていますがそのような中で論点を整理し、活用ガイドを作成され、チェックリストとして公開までされていることは頭が下がる思いです。

興味深い発表をいただき、ありがとうございました。

(フューチャー株式会社 / 山本竜玄)

ヘルスケア領域における生成AIの活用・課題に関するパネルディスカッション

パネラー:写真左から硴﨑さん、風間さん
モデレーター:増森聡明さん(シスメックス株式会社)

次はヘルスケア領域における生成AIの活用についてパネルディスカッションを行いました。

実はこのパネルディスカッション大変盛り上がったのですが、時間がかなり押してしまい、異例のタイムアップで途中で切り上げるというハプニングも発生しました・・・

お三方には次回も是非パネルディスカッションの続きをどこかでやっていただきたいと思います!

なお、パネルディスカッションでは次のような内容が話題になっていました。

  • ヘルスケア領域で生成AIを活用するに当たって、個人情報の取り扱いへの配慮はどのようにしていたのか?
    • JaDHAでガイドラインの作成に着手した2023年6月頃にはSNSで気軽に使える医療向けAIbotなどが最優先の課題であり出力内容の評価が優先度が高かった。個人情報の扱いについては、医療向けAIbotなどが下火になった夏〜秋以降で議論された
    • 参加している企業がヘルスケアに関わっている企業であるので、個人情報の扱いへの対応や理解ができている前提として議論が進んでいたためと推測される
  • 生成AIをつかったサービスに対して、どういう判断で提供するにいたったのか?
    • Ubieでサービスを提供したケースの場合、生成AIの得意な分野は文章の要約が使えると判断して作った。しかしその要約した内容の評価という点については、自動化が行えず数百の要約結果の内容を医師に判断してもらい、リリースに至った。また安全面に配慮して、要約だけでなく元の文章も参照できるようにしている
    • MICINでの医師国家試験を生成AIに受験させて合格した事例などは、生成AIに回答した選択肢とともに、それを選んだ理由も出力するように指示し、医師数名に内容を精査してもらうという手順を踏んだ
    • 生成AIの性能を定量的に評価する指標はいくつかあるか、ヘルスケア領域の現場レベルの感覚としては、それらの指標とは乖離している感じがまだある
  • ファインチューニングについての取り組みは?
    • ファインチューニングは文章のスタイルやフォーマットをチューニングするのは得意だが、医学的な知識を学ばせるのは難しい
    • 医学的な知識を学ばせるにしてもデータの取得元の問題や個人情報の観点などからハードルがあるのが現状
    • 現在はRAGやプロンプトの工夫などで対応している
  • 今後の生成AIに期待することは?
    • 大手のクラウドベンダーなどから提供されているLLMをつかって、どこの企業でも生成AIが利用できるようになっているということは、生成AIを使ったサービスを作る企業にとっては差別化を図ることが難しいとも言える
    • 生成AIを使った機能の議論が中心では無く、患者やユーザーの課題解決にフォーカスしていくことが重要だと考える
    • 日本語のヘルスケアに特化したモデルに期待している。どうしても海外のものについては日本特有の医学知識に欠けているという課題がある

(株式会社エヌデーデー / 関口貴生)

簡単ヨガレッスン / KEEN株式会社 杉下 明直美さん

さて、皆さんお待ちかね! ヨガレッスンのお時間です!

本イベントの目玉ですね、ヘルスケア分科会では身体を動かして皆さんで健康になりましょう!

ヨガ講師は元CAの杉下さん! Jagu’e’rで初登壇です!

コロナ渦でヨガにハマってしまい、趣味が高じて200時間のトレーニングを受け、ヨガの国際資格を取得した、とのことです。恐るべき行動力…! KEEN株式会社 自体はコミュニティの熱量を可視化するツールを提供される企業ですので、ヨガに関するお問合せは杉下さん個人宛にお願いしますw

さて、本日の目標です!

「ありのままの自分を認めて、日常のあれやこれやを忘れましょう」(Let’s 左にスワイプw)

杉下さんの導入に続いて、一日8時間以上パソコンの前に座り続けるJagu’e’rの皆さんと一緒に、健康的なヨガレッスンが進みました…! レッスンメニューは当日限り、ぜひご興味の方は次回開催時に会場へお越しください! 会場の汗だくな様子をお伝えします!

「呼吸を繰り返しますー」

「大きく吸って、鼻から吐きますー」

(みんなで、すい~)「戦士のポーズです」

ヨガを実際にやってみて、忙しい日常のなかでの雑念がスワイプされていきました。身体と一緒に心もすっきりした気分になりました! なかなか一人だとヨガをしようと思っても続けられないですよね。また次回のヨガレッスンも楽しみにしています!

(アクセンチュア株式会社 / 秋元 良太)

所感・まとめ

1周年企画Meetupということで、本当に盛りだくさんかつ汗たくさんでお届けました!

オーナーも心機一転ということで、これからも新しい企画にチャレンジしてみたいと考えていますので、会員の皆さんも「こんな企画おもしろそう!」ということがあれば、運営にご連絡ください。

この記事を読んでご興味を持たれた方は是非 Jagu’e’rへの会員申し込みヘルスケア分科会へ申し込み をお願いします!

(株式会社エヌデーデー / 関口 貴生)

最新ポスト