事例コンテスト2020年-オーティー情報システム株式会社

GWS ユーザー会 事例コンテスト 2020

第3位

オーティー情報システム株式会社

システム事業部

一般職 濱田 光亮 様

会社紹介:
大阪トヨタ自動車株式会社の情報システム部門として販売店独自システムの開発はもちろんグループウェア(メール・カレンダー)の導入からネットワーク・セキュリティ環境構築まで IT に関することならなんでも解決しトヨタ自動車株式会社の販売店用システム(ai21)の開発にも参画。強みを一言で表すと「自動車販売店業務知識とそれを活用したシステム開発」です。
Google Workspace / G Suite 導入エディション:Google Workspace / G Suite ベーシック

 

エディション選択の動機:
以前導入していたグループウェアはメール・カレンダーのみの利用の為、いきなり多機能の上位グレードを導入するのでなく先ずはベーシック機能を使いこなす事を目的にエディションを選択致しました。

 

導入パートナー:ソフトバンク株式会社
登壇スライド

事例:電話 0 プロジェクト発足の背景

「システム開発」と「保守(電話対応)」両立の必要性があり、「チャットボットで電話対応数を減らせないか?」という思いが「電話 0 プロジェクト」ボット開発のきっかけになりました。

当初は市販のチャットボット サービス導入を検討しておりましたが、弊社の希望にマッチした製品がみつからず、全ての希望を満たせる自社開発(Google Workspace / G Suite と Dialogflow)を選びました。Google Workspace / G Suite を利用し、Google カレンダーとの連携、そして人間オペレーターとの連携を想定しました。コロナ禍でテレワークが推進され、問合せ対応人数減少に伴う負荷軽減対策という側面もあります。

過去4年間の問合せ分析(画像参照)を踏まえ、「店舗業務」「操作方法」の問合せにチャットボットで対応すれば効果が出やすいと判断しました。チャットボットを社内で浸透、定着させるためには、IT に限らず相談できるボットを目指しました。

 

電話問合せ内容の分析

電話問合せ内容の分析

 

過去4年間の問合せ実績(22,663件)を検証
1) 解決に至るまでのリードタイム
・ 問合せの75%は当日中に解決 【図①】
2) 当日中に解決した質問の傾向
・ 販売店基幹システム、自社独自システム、Google等の業務・操作に関する質問が 77% 【図②】
3) 問合せ元の属性傾向
・ 店舗問合せ : 77%(主に新車業務)【図③】
4) 問合せのピークは4月異動前後 【図④】

Dialogflow と Google Chat の活用

まず IT 関連の内容を相談できるチャットボットを作成しました。Google Chat からチャットボットにメッセージを送ると、チャットボットが回答する仕組みです。例えば、「プリンタから紙が印刷されない」「パスワードを忘れた」「パソコン利用中にエラーが表示された」などの相談に対応した回答をチャットボットが返すというものです。

Dialogflow と Google Chat の連携は、問い合わせ対応の経験を活かしてエンティティ(類義語)を設定しました。正式名称ではない社内公用の名称や略称を類義語として設定することで、キーワードのヒット率を向上させました。
400 項目程度の質問と 18 種類のインシデントに対応しています。ボットの強みを活かし、前提知識を必要としない、誰が読んでも解決策が見つかる、電話相談以上のクオリティとして画像付きリファレンスを目指しました。

現段階では、Dialogflow の検証と Google Chat 連携による試行版チャットボットの開発まで完了しましたが、言語解析に必要なインシデントデータが不足しており、実用には至っていないのが現状です。

開発にかかったリソース

3 人のプログラマーで 3 〜 5 日程度かけました。内訳は、Dialogflow に取り込む人員 1 人、Google カレンダーや Google フォームへの展開の人員 1 人、そして私が技術面とプロジェクト タイムラインの管理を担当しました。他のチームメンバー 2 人にはご意見番とリードをお願いしました。

Web Application 開発者の立場からすると、難易度はそこまで高くはありませんでした。情報を調べる中で英語記事を調べる部分が辛かったです。3 人のプログラマーのうち 1 人は若く英語が堪能でしたが、経験と英語記事情報のすり合わせがボトルネックになりました。

導入までにクリアしたいこと

まだユーザーに展開できていない理由は、IT リテラシーが低いユーザーにボット公開しても、電話を好む傾向が見えたことが挙げられます。Entity 数を改善したら導入につなげられると考えています。1 日に 60 件ほどの電話を、技術業務の傍ら 4 人で対応しています。「ひらがな入力とアルファベット入力の切替方法がわからない」「ハードウェア故障」といったユーザーからの簡単な質問の内容には、電話ではなくボットで対応したいところです。しかし、初回導入の際にクオリティを担保しないと電話で相談するカルチャーから脱却しないので、導入時期と改善作業の頃合いを見計らっています。本格導入の段階では社内普及の観点から IT リテラシーの高いグループ会社から試験導入し、社内での認知度や有用性を広めてから他のグループ会社に展開する予定です。

他社ボット比較検討 Google Chat + Dialogflow の選択

性格上、ボットに聞くぐらいなら自分で調べるタイプなので、他社ボットは好んで使わないので、チームで 5 社のボットを比較検討しました。他社ボットを使用してみたところ、制約が多いというのが印象です。ボットの会話のツリー構造のトップ階層が、最大 30 だと管理しづらいと感じました。ボットツールが独立していると、後続のオペレーター連携部分において、オペレーターに質問の引き継ぎがないことも問題です。

それに対し Google Chat では API 情報の間口が、Dialogflow であれば解決できると考え、Dialogflow を選定しました。

他社ボットを比較検討した結果、統計機能が強い会社は問い合わせからソリューション提供ルートがはっきり分析できるようになっていました。Twitter のようなトレンド表示機能が Dialogflow で強化してほしい部分です。

Dialogflow と Google Chat の連携はノンプログラミングで簡単です。他プロダクトとの連携は Webhoc 連携のための技術的知識が必要なので、Google Chat 連携と同じノンプログラミングのレベルになったらいいですね。

Entity 作成が一番大変でした。導入後の運用部分で一番大変なのが、運用実績からブラッシュアップしていくところです。Dialogflow はデータが取り出せる形になっているので、自分でやるつもりです。

導入の成果(導入後)

前述の通り、残念ながらグループ各社への導入は完了しておらず、社内検証のレベルに留まっております。主な成果は開発ノウハウの習得で、簡単な返答ができるチャットボットが成果物です。

大阪トヨタ自動車株式会社には、勉強や語学学習、知的好奇心といった、やりたいことを追求できる土壌があります。昨年度の事例コンテスト受賞者の弊社井上の試みとして、若手への事例コンテスト応募を強く勧められ、弊社からの応募者が増えました。今回のコンテスト受賞により、社内でボット開発の認知にもつながりました。

今後の計画

まだまだ道半ばであり構想としては下記の機能改善を検討中です。

  • データの増量 -一問一答型から分岐型ロジックに改良しよりたくさんのインシデントに回答
  • 回答精度の向上 -分岐ロジックの組み込み
  • 基盤強化 -プログラミングを用いた他 Google アプリとの連携。チャットボットと有人オペレーター連携の円滑化、チャットボットのデータ取得、分析、プロセス改善

チャットボットとは別の構想として…

  • 事務所受付ボットの作成 -Dialogflow 開発を通じて得た知見を応用。来客者が Google Home から音声入力⇒Google カレンダーに連携⇒Google Chat でミーティング参加者に通知する仕組み

受賞にあたって(ご自身の感想、社内での反応・反響など)

弊社のかかえる大きな課題(問合せ対応)への挑戦に対して受賞という形で評価を頂けたことを大変嬉しく思っております。

授賞式の模様が社内で展開されたこともあり受賞後は先輩・同僚・後輩から「電話対応が少なくなるの?」といった期待の質問をよく投げかけられるようになりました。本導入を待ち侘びいていることを実感しており、早く進めなくてはと焦りもありますが、期待されていることを嬉しく思っています。

受賞商品はチーム内でじゃんけんに勝った人が使っています。

最後に

開発作業はまだまだこれからですが、Google Workspace / G Suite と Dialogflow の可能性を感じております。過去に別の言語解析エンジンを触ったことがあるのですが、なかなか形にならず苦戦しました。Dialogflow では短時間で簡単な返答が行えるチャットボットが作成できます。これは Google Cloud Platform 環境があるからこそであり、その盤石さに驚きました。開発を進めていくうちに、あんな事がやりたい・こんな事がやりたいと夢は膨らむのですが、調査を進めていくと様々な問題点にあたり断念することがよくあります。他の環境では諦めざるを得ないことも Google Cloud Platform であれば低コストで実現できるのが魅力です。

これからも Dialogflow ならびに Google Cloud Platform のバージョンアップに期待しております。

感銘を受けてボットを作りたいと思った方に一言

思ったより簡単です!
目指すもののレベルにはよるけど、日常的に自分でも作りたいなと思ったら、簡単にできるので、やってみてください。ボットと Dialogflow の知識があったら Wiki 検索機能上位版のようなゲームの攻略情報ボットを作りたいと思っていました。業務が一段落したらまた挑戦したいです。

タグ: