活動報告: データ利活用分科会 第11回イベントレポート
みなさん、4月ですね。今年は花粉が酷くて打撃を受けている方も多いでしょうか? 私もそのうちの一人です。そんな時には家から花見をしつつ事例を学ぶのにもってこいですね!
さて、今回は3月中旬、年度末の時期に来年度実践したくなるような取り組みや知識を紹介いただきました。年度末でしたがお昼の時間帯にはたくさんの人が meet に参加していました。ありがとうございます! それでは、今回のご発表を紹介したいと思います。
目次
演題紹介
「サステナビリティとデータ利活用」
Google Cloud / 岡田様, 堀地様
今回は Sustainability 分科会よりオーナーである岡田さん(Kao san)と堀地さん(Sotaro san)に登壇いただきました。サステナビリティ、「よく聞く言葉やけどあまりよくわかってへん。なんかエコする感じなんやろ?」という方、多いのではないでしょうか?しかも Cloud との関わりとは? 今回の発表はそんな疑問が10分間でよくわかる、そして如何にアプローチとしてデータ利活用が密接に関わっているかがわかるような LT でした。
まずは Sustainability 分科会の紹介です。サステナ分科会では、Sustainability について学びながら、各社の Sustainability や SDGs の取り組みを共有しています。これまでに取り上げられたテーマでも、Google Cloud に限らず SDG レポートに関することや、海の環境変化など面白そうな発表が多いですね。
私は、これまでのブログの中では Google におけるフードロスの取り組みが面白いと思いました。
https://jaguer.jp/sustainability20220913/
さて、ここからはイベントでお話してきた事例を3つ、紹介していただきました。
1つ目は、ESG 経営データ分析プラットフォームについての事例。ESG とは、Environment (環境), Social (社会), Governance (企業統治) の頭文字を取ったもの。企業が長期的に成長し続けるためには、これらの観点で事業リスクや事業機会を長期的に把握する必要があるという考え方です。
そして上記では、これらに関するデータを収集・分析・可視化することで投資家に向けて提示できるようにしたり、従業員に対して、どんな活動が効果に結びついているかを日々確認できるようなシステムを組んでいるそうです。どんなものでも、常にリアルタイムに分析、確認できるようにしておくことは重要ですよね。こうしたシステムを組んでおくことも、一つの企業活動の Sustainability の一環かもと思いました。
2つ目の事例ではクラウドプロバイダーのカーボン排出量計測についてです。Google Cloud の場合では各サービスの CO2 排出量を BigQuery にエクスポートして収集・分析が可能になっていたり、各プロジェクトのダッシュボードでレポートを見ることができるそうです。これはあまり気にしたことなかったです… もっと地球に優しくしないとですね!
そして、CCoEの議論では、ESG活動を見越して、データの扱いやすさや排出量などの指標が、プロバイダー選定の基準となる可能性があるという話がありました。また、使用するプログラミング言語においても、排出量に影響があるとのことです。言語の違いで排出量が変わるというのは面白いですよね。普段いろんな言語を使ってますが、これから技術選定、実装する時に思わず意識してしまいそうです。
最後の事例は、Google Earch Engine (GEE) を活用した Uniliever 様の事例です。こちらの事例は、Uniliever 様の有名な事例で、以下でも公開されています。
Uniliever 様は、消費財の材料としてパーム油を使用しています。そして、その確保は東南アジアの森林から持ってきているそう。ただ、その材料の確保が森林破壊に繋がることも指摘されているのだとか。しかし、だからといって「取らない」という選択肢はないですよね。
そこで、Google Earth Engine の地理空間データと、サプライチェーンのデータを使用して、森林のリアルタイムな状況を取得してタイムリーに、取った場所が再生するにはどうすれば良いか、切りすぎないためにはどうすれば良いかなど、どこで何をすれば良いかの判断ができるようにしたそうです。
製造、材料調達の段階から、ここまで実施されているところに感銘を受けました。素晴らしい。Save The Earth !
まとめとして、Sustainability の実現にはデータの可視化が非常に重要であると再度強調していただきました。そのためにはデータ基盤も重要だし、業務知識といかに掛け合わせていくかも重要だとか。分科会を運営していても、データ利活用の重要性を実感されているそうです。
まだ、いろんな課題もあるそうです。例えば、横断的に見るとなった場合にまだ基準が未成熟な場合があったり、そもそもツールの熟練度やノウハウが積み上がってない状況であったりだとか。可視化、データ収集まで含め、「どこから取り組んだら良いんだろう」という点、みなさんで育てて行きたいですね!!
Kao さん、Sotaro さん、ありがとうございました!!
「データを用いた安全なプロジェクト移行」
インタースペース / 上本様
次の LT はインタースペースでデータ基盤をしている、上本さんより、データを使って組織間のプロジェクト移行の際に権限まわりを綺麗にしたお話をしていただきました。
今回の発表では、異なる組織ドメインに対しプロジェクトを移行した事例になります。プロジェクト移行の事例があまり多くなかったので共有したい、また、データを活用することによって、Google Cloud を綺麗に使っていくことができると思ったことを共有したいと考えて登壇してくださったそうです。
実施された全体像と、どこでデータ利活用が刺さったかを共有していただきました。プロジェクトの移行ということだけあり、しっかりと事前準備されていますね。上本さんの慎重さ、真面目さが伺えます。
今回プロジェクト移行を確認した時に大きな課題になったのは「リソース階層内のポリシーが移行先のポリシーに反映されない」という課題だったそうです。そのため、「移行元をきれいにした上で移行先に展開する」ということを考えたそうです。リアル世界の引越しでも、断捨離は大事ですよね。
権限設定を収集するために、Cloud Asset Inventory を使ったそうです。Cloud Asset Inventory には GUI ツールも備え付けられているそうですが、今回は BigQuery に持ってくるようにしたのだとか。組織に紐ついている全ての IAM をエクスポートできるそう。最強ですね。
エクスポートしたデータに配列が入っていたので、BI ツールには何も考えずそのまま使える Looker Studio を採用したそうです。プロジェクト単位でユーザーやグループにどんな権限がついているかがパッとわかってすごく良いですね。余計なオーナー権限など、最終的な権限イメージとのずれをすぐに発見し、修正していけたそうです。
移行後の組織構成については悩んだそうですが、上のツールを使うことでいつでも状況が捉えられることがわかったので、現状最適であると思われる状況にすることを優先したそうです。ここで上本さんは「組織は生き物」と言ってくれたのですが、これが名言だと思いました。日進月歩で成長し続ける、あるいは外部要因によって変わる可能性があるからこそ、常に状況をリアルタイムに分析できるようにしておくことは、どんなものでも重要なことですね。
権限まわりを綺麗にできてきたので、Google Group に IAM の設定をして移行の最終準備の段階です。移行したらこの Google Group を移行した先のプロジェクトに割り当てるだけ。非常に合理的ですね。
ですがここで最後一つだけ問題が。データ基盤でデータレイクとデータマートのプロジェクトに依存性があったそうです。なのでここで、移行前後でプロジェクトに生成されているサービスアカウントを取得し、移行対象のテーブルにクエリが実行できるかテストしたそうです。
ここで念入りな準備が終わり、やっとお引越しタイム。組織間移行前後の Google Group が同じかを確認、そして、データレイク、マート間のクエリチェックも確認。さらに、移行前後の IAM ポリシーが同じかも確認し、無事に移行が完了したそうです。図で見る以上に精神をすり減らしそうな作業ですが、しっかりと準備し、問題なく移行までできて素晴らしいですね。
最後にまとめとして、Cloud Asset Inventory と BigQuery を使ってあげると、SQL や Shell を活用して組織整理や移行の際に大活躍! というのが一番良かった点だと仰ってました。権限設定を常に見直し、整理するのは重要な取り組みなので、今回のような移行作業でなくても多くの組織に刺さる事例でしたね。Speaker Deck にて掲載いただいている資料には、詳しい Script なども載せていただいているので、ぜひ管理者側のみなさんは一度ご覧になってみてはいかがでしょうか ?
上本さん、ありがとうございました!!
所感・まとめ
今回は、他分科会からのご登壇や、組織管理に大活躍の事例を紹介いただき、年度末非常に勉強になりました。ぜひ、今年度のお仕事に活かしていきたい、明日から使いたいと思うネタばかりでしたね。
組織の権限管理の可視化という点も、大きく捉えれば、まさに組織を持続可能にするものなのかなと。データ利活用によって、いろんな Sustainability の形がもたらされますね。
特に、収集、分析、可視化のオペレーションを自動化しておくことが全てにおいて重要であると、2本の LT を聞いて改めて痛感したところです。「明日の1分を節約するために今日の10分を惜しむな。」みなさんもどんどん、人間がやらなくていいところは自動化していきましょう !
次回予告
さて、データ利活用分科会次回ですがなんと近々に迫っております !
データ利活用分科会#12 Lunch & Learn を 4/20 12:00 より開催いたします!次回もランチタイムの開催になります。是非ともみなさまお昼ご飯を準備してお越しください ! #12 はなんと WBC ネタ ??!! 是非ともこの機会を逃さずご覧くださいませ。
また、4/18 18:00 より特別に、Dataplex 説明とデモをしていただけることになりました ! こちらも是非ともお見逃しなく ! それでは次のイベントでお会いしましょう !!