Google Cloud CCoE Summit ’23 振り返り
Google Cloud CCoE Summit ’23 振り返り
みなさまこんにちは、CCoE 研究分科会です!
2023年7月20日にわたしたち Jagu’e’r CCoE 研究分科会が中心となって企画した CCoE Summit 2023 が開催されたのでその報告をいたします。
今回はオンライン/オフラインハイブリッドの開催でしたが、Google Cloud 公式イベントということもありオンライン+オフライン合計で900人近くもの方々に参加していただいたビッグイベントとなりました!
開会のご挨拶
まずは黒須さんの挨拶
10年前はまだ言葉も浸透していなかった CCoE という枠の中でこういったイベントができるようになって感慨深いとおっしゃっていました。
また、登壇メンバーも CCoE 研究分科会から登壇していただいていて、コミュニティの力のすごさについても言及していました。
そしてなぜか赤いハチマキをまいて登場してきた加藤さん。
VR の世界へ現実逃避しながら酒を飲み散らかすことが趣味という自己紹介からはじまり
自社で CCoE を立ち上げるに至った経緯などを紹介してくれました。いままでの取組みをとおしてアツイ思いがひしひしと伝わってきました。
最後は選手宣誓(!??)でオフィシャルな場ですこし緊張していた会場全体をなごませてくれました!(困惑の間違いかもしれない。)
[基調講演] 楽しみながら仲間と学ぶ~全社横断型の CCoE コミュニティが牽引する DX と人材育成~
メインコンテンツのトップバッターはDNPの和田さんです。
「CCoE はこれを守ればよい、というものではなく、いろんなパターンがあってそれぞれ正解
」と冒頭から名言です。
DNP の CCoE は「企業内コミュニティ」として位置づけていて
- 専任メンバー、兼任メンバー、社外留学生などさまざまな共感者によって支えられている組織
- メンバー数1304名のバーチャルと実組織のハイブリッド型
- いろいろなチャネルを通じた特定のメンバー一部に偏らないような情報発信のしくみがある
とのこと。
バーチャル組織の「専業が忙しくてフェードアウトしがち」というデメリットを、100%のアサインのある専任とのハイブリッドで補完して両者のメリットを活かすというのは「そういう方法もあるのか」という気づきを与えてくれました。まさにいろんなパターンがあってそれぞれ正解という言葉を体現しています。
チャンネルの一例としてあがっていた AyakoTV のストリーミング配信に関してはもともとは配信が目的ではなくストリーミング自体の検証から始まったという話からも、情報発信の自由度が高く主体的な活動から生まれている、ということが伺えました。
クラウド好きからクラウド推しへ、という話では好きという自己満足で終わらせるのではなく、自らも貢献する推し活動にシフトすることが重要とのこと。推し活ととらえなおすとよりコミュニティを身近に感じ、自分にできることは何か?を自分で考え直すヒントになりそうです。
また、全体を巻き込む活動として
- DX サミット: 不定期でオンラインの勉強会
- Google Cloud 協力のハッカソン
- Google Cloud スキルチャレンジ
- 仲間と一緒に資格取得を目指す3ヶ月のプログラム
をあげていました。全体を巻き込む活動にしても多方面の仕掛けをしていて、資格取得ひとつをとっても資格取得をゴールにしないための活動を点ではなく線に変える工夫をしていました。
これから求められる人材としては、
今までの「答えや正解があり、知識や経験が求められる世界」とは違い「知識や経験だけでは乗り越えられない、今までにない新しい答えを仲間と一緒に探す世界」になっていて、マインドセットが大事とのこと。そして、コミュニティ活動がオープンな組織、フラットな関係へと導き、変化にも柔軟に対応できるマインドを育むとのことです。
そしてこれからどこへ向かうのか、というセクションでは DNP はコミュニティリーダーを育成する組織、Communty Center of Excellence になっていくとのこと。CCoE 研究分科会を通じてコミュニティがもつ力を実感している私としても、これからDNPのコミュニティがどのように変化し、変革を起こしていくのかワクワクするお話でした!
まとめ
- CCoE を全社横断型の企業内コミュニティとして位置付け活動
- コミュニティメンバーの誰もが情報発信できる場作りを意識
- 仲間と楽しみながら学ぶイベントを意図的に創出
- コミュニティ活動を通じてマインドに変化が生まれている
[基調講演] 二宮金次郎の報徳仕法を活用した全員戦力化を目指す CCoE のあり方
続いての基調講演はアクセンチュア青柳さんです。
まさかの二宮金次郎!!どう CCoE につながるのか異次元のコレボレーションです笑
まずは二宮金次郎の生涯の話からはじまりました。二宮金次郎の生涯は過酷な幼少時代を過ごしたが、生家の再興、小田原藩家老服部家の立て直し、荒廃した桜町の復興をし、さらには報徳仕法という仕組み自体を広げていったとのこと。
勉強になる!!しかし、CCoE の話はまだでてきません笑
報徳仕法による荒廃した農村の復興としてあえて桜町の農村では小田原藩からの援助金を断って農民を働かせお金を貸して心田開発を行い、自助努力と共助を両立させたとのこと。
ただ手を差し伸べるではなく、自分たちで立ち上がるためのしくみというのが素晴らしいです。
しくみとして展開された報徳仕法は
- 推譲
- リーダーを育てる
- 分度
- 収入に応じた支出を決める
- 勤労
- 至誠
から成り立つそうです。そしてようやくCCoEとのつながりです!!
高いスキルを持つメンバーがいないので CCoE を作れない、という課題に対しては
報徳仕法の考え方を以下のように応用できるとのことです。すごい。みごとにつながっています。
- 分度
- 学習計画を立て、基礎知識を身につける
- 勤勉・至誠・積小為大
- システム開発を行う
- 社内システムなどでクラウドを扱ったシステム開発を経験する
- システム開発を行う
- 推譲
- アセットを準備する
- 設計書や WBS などをテンプレート化して他の人が使えるようになる
- 仕組みとアセットを社内に展開
- アセットを準備する
- 心田開発
- アセットの Feedback が組織から集まる
また、CCoE がスキルのない多数のプロジェクトをサポートして疲弊するという課題に対しては
「日々努力を技術力をキープしている正直者が損をする」のような状態にして、少数のクラウド人材の価値を組織で高めない状態にしてはいけないとのこと。実際に技術のある人にタスクがあつまって疲弊する光景はよく目にしますよね。
代わりに報徳仕法という仕組みを展開したように、CCoE を仕組み化して組織内に多数の CCoE を作り、CCoE が直接助けてくれないので、メンバーは自分達でスキルを高める努力をしなければならない状況を作ることが必要だといっていました。
歴史の勉強にもなるし、直接の手助けではなく、仕組みそのものを展開する必要があるという重要な知見が得られるとても充実した講演でした!
- まとめ
- 報徳仕法の真髄は仕組みを展開し、作業者にその仕組みを使わせて自律、自助努力を促すこと
- CCoE は自らシステム開発を行い、知見をため、アセットを開発し、各プロジェクトが自立できるような仕組みを作るのが仕事
- CCoE は各プロジェクトが抱える課題の解決を積極的に肩代わりしてはならない、CCoE が助けてくれるという甘えを立つことで各プロジェクトの自立を促す
- CCoE が各プロジェクトの肩代わりをしない故に、浮いた時間は各プロジェクトに先んじて、新しい技術でシステム開発をしたり、より高度な技術の習得のために利用する、それを組織内の新しく立ち上がった CCoE やプロジェクトに展開する
- 各プロジェクトはプロジェクトで得た知見を CCoE にフィードバックすること、CCoE はそれを整理した上で組織に展開すること
ライブ QA
続いては講演の合間のライブ QA です!基調講演をしてくれたお二方が、ライブ形式で上がってきた質問に回答してくれました!オンラインで参加の人もオフラインで参加の人もslidoを通して随時質問ができる形式でたくさんの質問があがりました。ここではいくつかの QA を紹介します。
Q: 新技術に前向きであったり、興味のあるメンバーは自発的にスキルアップしたり情報発信したりすると思うがそうゆうメンバーへのアプローチ方法や工夫した点は?
青柳さん) 時間を見て見守ってあげると言うことは大事
和田さん) ハッカソンなどを Google オフィスでやるとか興味持つイベントをたくさん作る
情報発信とかを表彰したり LT 大会とかを実施したり
浅沼さん) 光るダイヤの原石をピックアップすることを大事にしていそう
青柳さん) カスケード式トレーニングは座学ではなく、週2回質問を受ける会
真面目に予習をやって講師ができる人は1割くらいしかいない
そういう人たちは本当に原石になる、逆にそこがふるいになる
和田さん) 受講生だった人が次に講師をやるとかそういう機会をすることを取り入れている
全くやらない人に無理やりやらせる、みたいなことはしていない。けど自然とやる気を起こすような仕掛けをしている
無理に何かをさせる、というよりかはやってくれるひとをピックアップする、自分たちがおもしろくなるような仕掛けをつくる、など外発的動機ではなく内発的動機を重要視していることがうかがえました。
Q: CCoE をやっていて辛いと思ったこと、未だに乗り越えられないことはある?
和田さん) ほとんどない自分で好きにルールや形を作れるところが魅力
人に教えることが好き、という人がメンバーになっている
どんなに頑張っても攻略できない領域があるのは事実がそういうことも楽しんでいる
やめちゃうとかフェードアウトしちゃう、みたいにどうしても自分でコントロールできない部分があってそうゆうのは多少しんどいところかも
コントロールできない部分はあるのは仕方ないけど、すべてひっくるめて楽しむ、というのはぜひ取り入れてきたい姿勢です…!!
NTT ドコモ CCoE の 10 年:変わったことと変わらないこと
続いては NTTドコモ の森谷さんです。
NTT ドコモのクラウド利用は2009 年ごろからで、はじめは研究開発用途で検証用に利用していて2014 年ごろ からCCoE 活動が本格化したとのこと。現在は非常に多くのシステムがクラウド上で稼働していてなんと、
- AWS アカウント数 1400+
- Google Cloud プロジェクト 600+
にも上るとのこと。クラウド利用の年数もサービス数もすごい!!
Docomo の CCoEはコスト最適化、技術支援、要望とりまとめ、ガイドライン・ツール開発、人材育成を実施していて、クラウドガイドライン・デザインパターンは2014年に書板を作成、その後継続的に最低半年に1度はアップデート中してWebでも公開しているとのこと。
このデザインパターンを参考にしている企業さんも多いのではないのでしょうか。公開しておわり、ではなくてクラウドの進化や使い方にあわせてきちんとアップデート、メンテナンスされているのがさすがです。
CCoE の方針や規範としては
- Gatekeeper にならない、CCoE の支援を受けるか共通基盤の利用は任意
- 全プロジェクトが自走できるなら CCoE は不要、事務処理の共通化だけでいい
- 自分達も利用者として利用コストを負担、利用時に管理者特権を使わない
- 問い合わせや対応、コンサルティング内容、コスト等、基本的に公開
- ノウハウ集約や窓口一元化を推奨。定型業務は自動化を推奨
- 人の入れ替わりの推奨
- 社外を含め利用者の声を聞く、社内外でコミュニティを形成する
とのこと。Gatekeeper にならない、公開する、人の入れ替わり推奨、などかなりオープンで柔軟なCCoEというのがうかがえますね。
最近の取り組みとしては Sustainability に向けた取り組みやR&D OPEN LAB ODAIBAとしてお台場にコミュニティスペースをオープンしたり、セキュリティ統制の強化をすすめているとのこと。いっけんすると、クローズドに閉じそうなセキュリティ統制に関して、管理アクティビティなどをダッシュボードで見える化、オープン化していてみんなで気づける、改善できる仕組みをつくっているのは目からうろこでした。こういうところからコミュニティ的に気づきやノウハウが広がるのは理想的な形の一つな気がします。黎明期からクラウドを活用しているNTTドコモさんの経験値とオープンさが伝わってくる講演でした!!
- まとめ
- 業務範囲はメンバーは変わっても方針や規範は変わっていない
- 既存の取り組みを継続しつつ新しい取り組みを仕掛ける
- Reactive な活動と Proactive な活動を共存させる
- カーボン排出量削減、コミュニティ形成主導、統制管理
- CCoE の役割を「支援」から「牽引」へとシフト中
- 10年経ってもまだまだやること・やれることがいっぱいある
“CCoE 実践側”が語る!これが CCoE の最適解だ!(パネル セッション)
続いてはユーザー企業の方々のパネルディスカッションです。KDDIの柴田さんが複数のテーマに沿ってディスカッションを進行してくださいました。ここではいくつかのテーマをピックアップして紹介します!
テーマ: CCoE に向いている人、必要なスキル、他部門との関係性は?
秋吉さん) CCoE の前は人から近づきづらいと言われていた、その中で CCoE になった時に気軽に相談をしてもらえないとかあったかもしれない。コミュニケーションができることが重要
気軽に話しかけてもらう空気を出すことで紹介をしてもらったり存在感を出したりすることができる。その上で課題を特定して、一緒に課題を解決する姿勢を見せることが CCoE に向いている
田中さん) もともと2人でしかも兼任でやっていたのでクラウドデザインパターンを進化させることが停滞していた。課題が溢れてきていて手がつけられない状態になっていたので人をもらった。若手の人材育成に重点を置いた若手メンバー
神沢さん) ガバナンスは割と The CCoE みたいな感じ、そういう人は重要なピースの一つ
業務部門で支援をする人、ビジネス支援をする、という人も重要
みなさんそれぞれの視点で CCoE という組織について意見を述べてくれています。
テーマ: 人材育成
神沢さん) クラウドネイティブでシステムを作る時、リファレンスアーキテクチャの勉強や新しい技術を勉強することで割となんでもできると思う。The Engineer というところから始めなくても良い。クラウドだと簡単に触ることができるので学びの第一歩にもなる
秋吉さん) KPI として資格取得件数とかあるとしてもチャンスに恵まれなければペーパードライバーになってしまう、クラウドは今日思いついたらすぐにできる。その機会をいかに作れるか、が必要。きっかけづくりが大事
田中さん) いろんなイベントに参加してもらったりして機会を与えている。本人とやりたい方向を会話しながらやっていきたいことを引っ張っていく
やれることはたくさんあって、いかに機会をあたえるか、というところを重要視しているのは共通しているところですね!
今後の展望について
柴田さん) CCoE の活動、クラウド利用に関するモチベーションや文化を広げていきたい
CCoE のメンバーだけでなく、他の部署と協業しながらアウトプットしたい
神沢さん) 昔はパートナーさんに丸投げの状態だったが、今は一緒にやっていこうと言う流れになった。今後は事業と一緒にサービスを作っていきたい
秋吉さん) 自ら手を動かして企画提案をする。他人に任せても将来が見通せなくなる
色々な仲間を作って実効性を高める動きをしていきたい。
田中さん) 開発のアジリティをどうやって上げていくか、を一番大切にしている。
最後はしっかりと柴田さんがみなさんの今後の展望をとりまとめて締めてくださいました!
エンタープライズ システムにおける CCoE 活動の取り組み
続いては野村総合研究所のお二人が発表してくださいました!
技術獲得、統制・セキュリティ、構築支援、人材育成の4象限にわけて CCoE の取り組みについて紹介していただきました。
技術獲得の事例としては「 VPC Service Controls の検証」を紹介していただきました。
背景としては統制ルールの都合上、本番と検証環境で Organization が異なるが本番移行の際、検証環境から本番環境への大容量のデータをサービス境界またぎでコピーする必要が出たが当時はそれが不可能だったとのこと。
この事例ではニーズとリリースがマッチした幸運な事例であるが、早い段階でニーズにあわせた検証をすすめることで、技術獲得を行い深いレベルでサービスを理解できたとのことでした。
発見的統制では本番環境と検証環境があるなか、アジリティを確保しながら、セキュリティを担保したいというニーズに対して、Asset Inventory / Cloud Logging から違反事項を検知してメール通知をすることによって実現した事例を紹介してくださいました。
構築支援ではスムーズな導入と底上げの取り組みのための DevOps 環境の整備の事例について紹介していただきました。実際の課題に対してトライアンドエラーをしながらニーズにあわせて最終的には CloudRun を適応したとのことでした。額面通りにサービスを使うのではなく、自分たちの課題にはどのサービスが適応できるか?最適か?をしっかりと見極めるのはCCoEとしても大事な姿勢ですよね。
人材育成に関してはスキルレベルを1~4でレベル分けしていてとくにレベル1から2にあげるところに大きな隔たりがあるとのこと。その隔たりを解消するためのエンタープライズシステムレベルの経験機会の創出をしているとのことでした。
包括的に CCoE の取り組みを事例ベースで紹介していただき参考になりました!
ライブ QA
ここで二回目のライブQAです!ここではひとつだけ QA の内容を紹介します。
Q: CCoE メンバーのスキルが価値が高まった時に会社を辞めたりしてしまう時があることに対してどう思う?
森谷さん) 基本的に人の入れ替わりを推奨している
スキルのある人が抜けることで周りの人の機会が増えるのでいい
柴田さん) 組織としては難しいが出ていくことは仕方ない
仮に会社を離れたとしてもコミュニティとかでは会えるし、回り回って自分達に戻ってくると思う
原田さん) 社内で必要とされる人が必要な場所に配置されることは健全だと思う
日本企業だとマネジメントよりになっていくと言うことが多いと思うが市場価値に応じた動きがあるのは正しい流れだと思う
新陳代謝や多様性といういみでも人の入れ替わりは良い面もおおきいですよね。元来人が辞めること自体はネガティブにとらえられがちですが、もっと広い視野で人の流動性をみると考え方が変わりそうです。
クラウド推進の落とし穴、危ないポイント
続いてはウルシステムズ株式会社の鎌形さんからの発表です。パートナー視点でのCCoEの陥りがちな落とし穴とその対策について話していただきました!
冒頭でエンプラこそ CCoE を作るべき!と宣言です。個人利用ではあまり気にしなくてもいいが、大きくなればなるほどガバナンスやセキュリティが大切になるとのこと。言うのは簡単だがやってみたら大変だった、うまくいかない、みたいなことなかったかと問いかけます。
実際の事例から見る落とし穴として
- ①前に進んでいる気がしない
- ②誰も使われないルール
- ③CCoE がボトルネック
- ④気づかぬうちに高額請求
の4つの代表例を紹介しています。本当にどれも陥りがちな事例で、強く共感する人も多いのではないでしょうか。
落とし穴に落ちないために、としてそれぞれの事例への対処を提示してくれました。
- ①クラウド推進の目的を定義する
- ゴールにたどり着くための課題を定め活動が迷走することを防ぐ
- ②組織横断でスペシャリストを集める
- 全社視点での最適解を導く
- 経営、事業部門、リスク管理、経理部門、IT 部門
- 発生している課題に対して徐々に仲間を集めていく
- 全社視点での最適解を導く
- ③CCoE の役割を決める
- CCoE はクラウド活用の牽引役であり承認者やルールの番人ではない
- ④コスト最適化の準備をする
- クラウドリソースの見直しだけでなく、各組織のスペシャリストが集まった CCoE だからこそ業務・運用・アーキテクチャの見直しといった全体最適化を見据えたアクションで考える
当たり前のことではあるけど、だからこそ大事にしないといけないというポイントを再認識させられる講演でした!
- まとめ
- クラウドジャーニーを作りクラウド推進の目的を定義する
- CCoE は組織横断でスペシャリストを集める
- CCoE はクラウド活用の牽引役
- クラウドを継続的に活用するためにコスト最適化の準備をする
”CCoE 支援側”から見る!これが CCoE の最適解だ!(パネル セッション)
続いてはパートナー企業の方々のパネルディスカッションです!ここではいくつかのテーマをピックアップして紹介します!
テーマ: 「CCoE立ち上げ/初期の苦労と対処」
守屋さん) 2年前立ち上げた時は CCoE という言葉を 聞いたことがなかった。立ち上げの際に偉大な先輩方に話を聞くことができた。開発部署を一つ一つ回って CCoEの 認知向上を行った。認知というところが一つの壁だった。
富坂さん) CCoE の立ち上げを支援する立場。一緒に構成検討したり基礎力アップのために資格取得目指すとかガイドラインを作る、みたいなところの支援をしている。IaaS しか使えていないお客様に CloudNative 化の支援をしている。クラウド導入初期の悩みが多い
中根さん) 初期の苦労としては現場全てがどうしても使いたい、という空気になっていない場合がある。それの対処としてやりたいと思っている企業のトップが明確に発信やビジョンを持ってもらえるといいと思っている。トップダウンの流れを作ることは重要
森さん) 認知というところでは苦労する。初めて聞く人にとってはピンとこないのかなと思う
認知を高めるためにアウトプットを大切にしている。ガイドラインや Tips 、エンジニアブログ、SNS などを使っている
CCoE の認知向上のために苦労していて、そのためのCCoE発信力向上のための工夫をしている方がおおいですね。地道な活動ではありますが、めちゃくちゃ大事なところですよね。。
テーマ: ガイドラインを作った後、維持やメンテナンスをどうやっている?
富坂さん) 初期に作った運用ルールに縛られていたり、しばらくしたら子会社からグループ会社のガイドラインが難しすぎるから緩いガイドラインを作って欲しいという依頼が来たこともある、ガイドラインの運営はむずかしい。厳しすぎてもダメだし、ゆるすぎてもだめ
ユーザーの要望に合わせてメンテナンスを行っている。クラウドはアップデートが早いので放置してしまうと形骸化してしまう、ある程度更新ルールは重要だと思う。
中根さん) 作ったガイドを使ってもらってナンボなので協力してもらう、という感じにしている、基本緩めに設定。全体の方針として大きなところから優先的に行っていく。
ガイドを作ったとしてもそれを正しく読み取ってくれているかなというのがむずかしいところ。
ガイドに関しても、これが正解というものはなく、使ってもらうためのメンテナンスや工夫が必要なことがうかがえました。
閉会のご挨拶
最後は黒須さん、粟田さんによる閉会の挨拶です!
それぞれのセクションの簡単な振り返りをして締めてくれました!お二人の阿吽の呼吸がすごくてめちゃくちゃテンポが小気味よかったですw
閉会のあとは立食形式の懇親会でした!名前も初めて聞くようなおしゃれな料理がたくさん。
来場者特典の本を配布している様子。サイン本わたしもほしかったー
おまけ: 前日譚
なぜ CCoE 研究分科会会の活動をへてCCoE Summit の開催を企画するに至ったかの前日譚をちょっとだけ紹介します。
それは分科会運営の3月のミーティングで23年のメイン活動についての議論で2022年に実施した CCoE 国勢調査を2023年も継続してやろう!という話が発端でした。
どうやってアンケートを集めるか、とみんなで話していたとき。赤いハチマキの選手宣誓でおなじみ!の加藤さんが「CCoE Summit Japan みたいなイベントとして展開して人を集めてアンケートとるのもおもしろそう」といった一言がきっかけであれよあれよと話がすすみ、イベントを開催するのにいたりました。
こんな大規模なイベントがもとはアンケートをあつめる話から始まったんです!ひとつのアイデア、発言から大きく波紋となって皆さんにかかわるイベントになったのを間近でみれたのはとても貴重な経験となりました。人や企業があつまると本当に可能性は無限大だと実感。。
おわりに
このブログを読んでいただいてありがとうございました。執筆にあたって会をふりかえってみても、あらためて皆さんが実際に蓄積してきた経験値やナレッジがこのような場で多くの人に届くコミュニティの力を実感しました。
ここで持ち帰った知見を糧に新たな CCoE が誕生することを願ってやみません!
お知らせ
CCoE として活動を始めた、あるいはこれから始めるという方は、情報収集や相談の場として Jagu’e’r の CCoE 研究分科会を活用いただければと思いますので是非ご検討ください。
※このブログに掲載している内容は参加者個人の見解であり、その組織を代表するものではありません。